human 02
作品概要
- 制作年
- 2020年
- 素材
- セラミック
- サイズ
- 115mm(幅)×205mm(高さ)×105mm(奥行き)
倉本美津留のこれやんコメント
STORY
倉本:中莖さんはテラコッタで彫刻作品を作られていますが、焼きものという技法に興味を持ったきっかけは何でしたか?
中莖:子供のときからビスク・ドールとかマイセン(欧州の名窯)などの工芸品が好きでした。陶器の質感、そして長年の保存できる素材であることに興味があり、小学校の低学年の頃に、昔の土器を博物館に観に行って、こんなにも昔のものが残っているんだと感動しました。
倉本:では、子供の頃から粘土細工が好きだったり?
中莖:はい、幼稚園の頃から粘土細工をやっていました。絵を描くよりは紙で立体を作ったり、粘土で作ったり……立体物のほうが好きでした。小学生のときから美術が得意だったので、美術系の学校に行こうと思い、工芸系高校のインテリア科に進学しました。きっかけはガウディが好きだったからなんですけど、自分としてはアートの目線でした。でもいざインテリア科に入学してみると、図面を描いて模型を作って、ル・コルビジェを勉強していくという……“あれ。建築って、自分のやりたいこととは違うな”と。でも、ガウディになりたいのも無謀だと思い、彫刻が自分には向いているなと思うようになりました。
倉本:路線変更がうまくいき、人物を作るようになったわけですね。今の作風へはどのようにして至りましたか?
中莖:学生時代からずっと中性的というか、性別のない人間を等身大で作っていました。
倉本:性別がない作品を作り始めたのはどうしてですか?
中莖:それが無意識すぎて……大学でも先生に“なぜ性別がないのかな?”と、問いただされました。私のなかでは美しいものを作りたい気持ちがまず先にあり、そのなかで私にとっては性別がなかったり、分からないようなもののほうが美しいと思うからです。でも、何かを訴えたいわけではなく、フェミニストなわけでもなくて、ただ自然な感覚というか“(性別が)ないほうが綺麗だ”というだけです。だから性別がないものを作ると、こんなにも突っ込まれるんだという驚きもありました。
倉本:単純に美しさを求めた結果なのですね。
中莖:はい、幼い頃から顔が綺麗な人が好きで、そういう人の画像を集めたり、自分で絵を描いたりしていました。ただ、綺麗な顔を模倣するのではなく、いろんな人種の綺麗な顔を吸収し、完全なリアルさを求めずに自分が綺麗だと思う顔を作り出す感じです。私が作品として作る人間には感情が無いというか、ゼロの状態で作りたいと思っています。なので、私はそういう“分からなさ”を美しいと、感じる節もあるのかもしれません。