Parade(Japanese badger)
作品概要
- 制作年
- 2022年
- 素材
- アクリル、金箔、紙
- サイズ
- 364mm(幅)×256mm(高さ)×22mm(奥行き)
倉本美津留のこれやんコメント
STORY
倉本:住吉さんは金箔や銀箔に描く絵画作品だけでなく、立体作品も作られています。現在のスタイルへとたどり着いた経緯について教えてもらえますか?
住吉:学生時代にはデザインを学んで会社に入っていますが、紆余曲折あって勤めを辞めて、粘土いじりを始めました。なので立体の作家として活動が先でした。会社を退社後、画家の方と知り合い、そこで初めて”絵”と対峙しました。その後も立体作品の展示を続けていましたが、結婚・出産をきっかけに、粉がたくさん出る石粉粘土は子供によくないかなということで、立体作品が作れない状況になりました。それを機に今までも描いていましたが、より絵に向き合ってみようと思ってはじめました。最初はキャンバスに描いていましたが、3年前に知り合いの方から”風神雷神をモチーフにした屏風”というオーダーをいただき、初めて金箔に描く作品を作りました。
倉本:いきなり風神雷神だったんですね。モチーフからは琳派を思い浮かべてしまいます。
住吉:そうなんです。上野であった琳派の展示を見た方から”風神雷神をやってみない?”と、オーダーをいただいたので、まずは”私なりでいいですか?”と。いきなり金屏風という勇気はなく、小さい作品で試作しながら、今は金箔・銀箔とキャンバスで制作を行っています。子供も大きくなったので、再び立体作品も作るようになりました。
倉本:モチーフは動物が多いですね。
住吉:物心がついたときから動物が好きで、幼い頃からいろんな動物図鑑を模写していました。それもあって立体のモチーフは動物で、平面のほうには好きな多肉植物も混ぜています。 図鑑は好きですが、リアルになりすぎないようにデフォルメして、自分なりの表現を心がけています。そうは言っても子供時代にインプットしたものが出てくるので、どこか懐かしい感じのテイストになっちゃいますね。
倉本:構想は下書きを作ってからか、それとも描きながら考えているのですか?
住吉:特に金箔は修正がきかないですし、まず下書きを描いています。コンピューターで構図を決めたあとで転写をして、色は描きながらつけていきます。ただ、下書きがあっても、構想には今日あった出来事とか印象に残ったこと、あとは日々浮かんだイメージが生き物のように入り込んでいきます。
倉本:緑っぽい色調のなかで、動物と植物が混ざり合っていますね。
住吉:絵を描き始めた頃は、動物だけを単体で描いたりしていましたが、今は日々の記憶とか、食べたもので体ができていくとか、動物と植物と土と空の間に境界線がないとか……そういったことを念頭に置いて描いています。私が絵を描き始めたのは、すべてのものは途切れてあるのではなく、最初から全部つながっていることを表現したい気持ちがあったからなんです。この「パレード」というシリーズは、”日々当たり前にあることは連続してあるもの”という思いを込めるため、すべての作品がつながるようになっています。 終わりも決めてないのですが、ずっと続けていこうと思っています。大小20点以上ある作品はすでにばらばらの場所にありしますが、全部を並べたらちゃんとつながるはずです。