アート・プロジェクト「ソノ アイダ」で制作中の角文平先生を訪ねました
都心の空き物件をメディアとして活用する「ソノ アイダ」では、アート・コンペティション「TOKYO MIDTOWN AWARD」の受賞アーティストにスペースを開放し、空間を生かした公開制作・成果展「ソノ アイダ #TOKYO MIDTOWN AWARD」を開催しています。現在開催中の第5回目に参加している角文平先生が、ちょうど公開制作中とのことで、その様子をお伺いしました。
会場は東京の中心、日本橋にある解体予定の建物「日本橋室町162ビル」。その1Fが制作・展示スペースで、建物に入ってすぐの場所に角先生の作品が並んでいました。
天井の高い空間の壁にはカラフルな作品が設えられ、一見するとまるでボルダリング施設のよう。公開制作に訪れたお客さんに“この壁は登れますか?”と聞かれたこともあったそうです。作品のなかには実際にボルダリングで使うクライミングホールドを着色したものあり、角先生の作品に混ぜ込んでレイアウトされていました。
「この吹き抜けの空間を見たときに、普段から僕が取り組んでいる都市のなかの住居をテーマにした作品を作りたいと思いました。都心は人が住む土地も少ないので、建物が高層化したり湾岸沿いにビルを建てたりしていて、その意味合いの延長で壁にも住んでいるというアート作品です」
壁だけではなく、大きな家のカタチをした作品や空間に吊られた“スペースハウス”などもあり、空間全体を使ったインスタレーションになりそうで、完成が楽しみです。
先述した作品は、旧作をこの空間用にリアレンジしたもので、新しい作品の制作にはこれから取り組むとのこと。新作についてお話を伺うと、角先生が見せてくれたのはお店の入り口に置かれている玄関マットでした。制作・展示会場の日本橋は五街道の起点でもあり江戸の玄関口。そんな場所に飾りたい玄関マットを角先生がデザインしたとのこと。何とこれから、この玄関マットをバリカンで刈っていくそうです。
「事の発端は“いらっしゃいませ”という文字が入った玄関マットにミステリーサークルがあったら面白いなって思ったんです。ミステリーサークルはUFOの痕跡とも言われますが、そのなかには人間が作ったものもあり、まぜこぜになっているところも面白い。今回はもし日本橋にUFOがやって来たら、どこに痕跡を残して帰るかなと考えました。日本橋には緑も畑もないから、これは玄関マットだろうなって。なので日本橋のいろんなお店から痕跡が残った玄関マットを集めて展示をしたいと思っています」
この作品制作のために角先生は新しいバリカンを用意したとのことで、制作への熱い意気込みを感じました。日本橋にやってきたUFOが爪痕を残した玄関マットの一挙展示。これを見たときに受ける印象がどんなものになるのでしょうか。
角先生が参加中の「ソノ アイダ #TOKYO MIDTOWN AWARD 第5期 」は11月15日までが公開制作期間で、11月16日から12月1日に制作作品を展示する成果展が開催されます。角先生の奇想天外な発想力とユーモアが体感できる展示にぜひ足を運んでみてください。
「ソノ アイダ #TOKYO MIDTOWN AWARD 第5期 」
[会期]
アーティストスタジオ:2024年10月5日(土)〜11月15日(金)
成果展:2024年11月16日(土)〜12月1日(日)
※定休日:毎週月、火曜、祝祭日
[会場]
日本橋室町162ビル
これやんでの角先生の取り扱い作品はコチラから
文:これやん編集部(取材日:2024年10月26日)