編集部だよりVol.6 【展示レポート】 – 円の表現がもたらした変化 –
池袋東武・美術画廊は金丸先生が卒業してはじめて個展を開催した百貨店で、今回で13回目の個展です。そんなホームグラウンドとも呼べる場所で開催したのが、曼荼羅をテーマにした展示でした。動物と金丸先生が解釈する曼荼羅的な装飾表現が加わることで、絶妙なバランスを感じる仕上がりになっていました。
「広い意味での曼荼羅とはどういうものかと考えました。そこには木の年輪や雪の結晶、星の軌跡、黄道十二正座、さらには干支もあり、いろんな文化と交差しています。また、古代人が描いた世界観や森羅万象など、時間の概念も取り入れてみようと思いました」
金丸先生らしい重層的な絵肌は遺跡のような質感があるため、曼荼羅的な装飾が違和感なく溶け込んでいるのが印象に残りました。なかでも一際存在感を放っていたのが「古代魚と宇宙樹のマンダラ」。金丸先生がたびたびモチーフにするシーラカンスや都市、それに宇宙樹を描いています。また金丸先生自身が“龍が自分の尻尾を噛んで円になっているウロボロスが持つ循環の意味と、一筆書きで円を描く円相に似たものを感じた”という「象と龍のマンダラ」。これらの作品では画面内に円を描くことで、これまでにない一体感と意味合い的な深みを感じました。この円を描くことへの興味から、曼荼羅のモチーフへと発展していったそうです。
「2024年初頭に円を描くことに興味を持ち、そこから曼荼羅図をテーマとして描くようになりました。今までは円を描くときはフリーハンドで、それが味だと思っていましたが、今回はもう少しきっちりと円を描きたいと思い、コンパスを使ったりもしました。画家としてのキャリアも20年を超え、今だからこそ変わっていくことが大事だと思っています。もちろん確固たるものも必要ですが、変わり続ける姿勢を持つことが大切だと思いますね」
「金丸悠児 マンダラ図展」
会場:2024年11月21日(木)~27日(水)
会期:池袋東武・美術画廊
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