特集[日本建築アート 藤田朋一]〜「Diversity Diner」レポート
これやん:Diversity Dinerはどんなコンセプトを持ったお店なのですか?
藤田:和食をモチーフとしたビーガン・レストランで、内装は和をモチーフにするということでした。僕の木組みの作品をご覧になったデザイン・施工会社インターキューブの丸山文久さんからデザインのお話をいただきました。丸山さんから最初にもらったお題が“江戸城”でしたね。入り口の木組みは江戸城の大手門を造形から着想して、自分の彫刻のように複雑化したデザインを作りました。
これやん:店舗の天井には木組みの作品が飾られていました。
藤田:木組みのシャンデリアとして提案させていただきました。中央を羽田空港と見立ててそこがハブになり各地に赴くといったイメージでして、外側を囲んでいるのが日本各地の神社(もしくは日本の名所)ですね。
これやん:店舗内には藤田先生が個展「NEO TOKYO」で展示した東京タワーの造形作品もあります。
藤田:「NEO TOKYO」は東京の風景に歴史的遺構を混ぜて現在を表わすというコンセプトの展示でした。この作品は芝増上寺の本堂から見える東京タワーをイメージしていて、あの都心にありながら広大な土地と大きな本堂、またその後ろに見えるこれまたひときわ大きな東京タワーが僕には地続きに同じ敷地内にある“増上寺の仏塔”に見えたんです。それで東京タワーと仏塔として表現しました。タワーの造形に五重の塔を合わせると間延びするので、奈良の談山神社にある十三重塔を参考にしています。タワーの造形を損なわないように、かつ中の構造物を見せたいので、螺旋上に仏塔の屋根を配置しました。
これやん:江戸城をモチーフにした作品もあります。
藤田:これも「NEO TOKYO」として制作した作品で、江戸城の城郭とかつて存在していた御殿がモチーフです。その城郭を光らせることで“NEO城郭”を表現しました。レリーフ状の作品で、幾層の構造になっていて、実際の城郭の通り本丸が一番高く、二の丸、三の丸と徐々に低くなっています。ライトは格子模様が浮き出るように仕込んでいます。
これやん:テーブル内の空間にも、白色の枯山水とともにいろんな建築物が配置されています。
藤田:それぞれの空間に白一色の構成で見せる神社仏閣、もう一つは白のなかにカラフルに色で見せる神社仏閣がテーマでした。白一色のほうは架空の建物ですが、イメージは平等院鳳凰堂です。実際の鳳凰堂はこのような伽藍配置ではありませんが、この作品では独自の伽藍構造にしています。廊下をあえて上下二層にしたりしてSF感を出しNEO伽藍を表現しました。
これやん:写真家の古賀勇人さんとのコラボレーションした作品もありますね。
藤田:古賀さんの写真を装飾する額装を作ったのがはじめてのレリーフ作品でした。これやんの特集ページに載せている新作は、このコラボ作品から発展したものです。今回は新しいテーマで、「破風を懸ける」作品を制作しました。
これやん: Diversity Dinerでは緻密な木組みで構成される作品に加えて、店舗デザインの部分では大胆さもあり、とても見ごたえがあります。
藤田:こういった店舗内のデザインを手掛けるというのは初めてでしたが、自分の作品作りとは違って、その場の条件などに合わせて制作するというのもすごく面白い体験でした。実は店舗内の中央のテーブルの脚にも木組みのデザインを取り入れたりもしています。お店にいらっしゃることがあれば、そういった細部まで見てもらえたら嬉しいですね。
※藤田先生の最新作品は特集ページにて販売中。合わせてご覧ください!
[店舗情報]
Diversity Diner
〒144-0041
東京都大田区羽田空港 2-6-5 羽田空港第3ターミナル 4F
国際線出発ロビーエリア
OPEN |10:00~22:00(Lo. 21:00)
写真・文:これやん編集部(2025年3月26日)
取材協力:Diversity Diner