編集部だより Vol.13【展示レポート】新直子先生 – 感覚の先から生まれる抽象画-
これやん主催とギャラリー上田のコンテスト企画「ART NEXUS 2025 ~ざぎんNOW」でも見事、展示イベントへと選出された新直子先生。先生が幾度も展示を行っているThe Art Complex Center Of Tokyoにて開催された2人展にお邪魔しました。
新先生は可視化できないものを独自のタッチで表現していますが、今回の展示では「他の存在や事象に力を借りることに焦点を当てて制作した」とのこと。
“Mirror”と名付けられたこのシリーズについて「身に纏うことをテーマにしていて、例えば民族衣装のように、纏うことでそのものから力を借り、違った印象や存在になるようなイメージを表現しています」と語る新先生の言葉からも、装飾物を頭部に纏った人らしきフォルムとそこから生まれるエネルギーが合わさったような、これまでにない表現を感じることができました。
そのなかでも目を引いたのが、円状に並んだ貝殻を描いた作品でした。新先生の抽象的なタッチを少しだけ残しながらも具象的で、柔らかさのある美しさを感じました。
「Mirrorシリーズで表現した装飾物の延長線上である作品です。貝殻には本来そこにあった生命は無くなっていますが、私にはまだ命があるような美しさを感じたので、貝冠のようなイメージで描きました」
もうひとつ新先生が紹介してくれたのは匂いや香りから想起した作品です。
「私が描くときにはいつも具体的なモチーフがありますが、これは匂いや香り……例えば花、あとは水辺など、自然のなかで感じられる匂いをイメージして描きました」
新先生のお話を伺いながら作品を鑑賞すると、先生が持つ感覚やイメージを何となくですが想像できるような、そんな不思議な体験ができました。抽象的な絵画が持つ、イメージの奥深さや解釈の面白さを改めて感じられた展示でした。
ACT企画 五ノ井愛・新直子2人展「Beyond Brightness」
会期:2025年7月22日~7月27日
会場:The Artcomplex Center of Tokyo ACT2
新先生の取り扱い作品はコチラ
文・写真:これやん編集部(2025年7月27日)