台風で被災した鈴木香南先生のアトリエより現地レポート、出品中の作品は無事に保護
これやん取材班が鴨川へ向かったのは9月20日。都内から鴨川へ向かう道中は復旧真っ只中で、ブルーシートに覆われた屋根、慌ただしく走る電力会社や自衛隊の関係車両を多く見かけました。主基グラススタジオに到着すると、その変わり果てた姿に、しばし唖然とさせられました。
台風の暴風でアトリエの屋根は飛び、電柱が倒れ、ガラスの融解炉は停電のため、炉内でガラスが固まってしまい復旧には時間がかかるとのこと。被害の甚大さを痛感するなか、幸いだったのはアトリエ内に置かれた作品の多くが被害を免れたことでした。「屋根は飛んでしまいましたが、置いてあった作品には雨水が溜まったおかげで、暴風のなかでも多くの作品は、床に落ちなかったので割れずにすみました」と、アトリエを営む鈴木洋史さんの話を聞き、ほっと胸をなで下ろしました。洋史さんは香南先生のお父さんであり、ガラス工芸の創成期より作家活動を続けられているアーティストでもあります。これやんに出品中の香奈先生の作品は以前、アトリエ構内に飾られていましたが、今は別の場所で保管されていたため無事でした。
取材当日はアトリエの片付けに追われていた香奈先生ですが、その合間に少しだけお話を聞くことができました。台風の被害が起きた最中についても説明してくれました。
「電気が止まり、屋根が飛んだのは2~3時間の出来事でした。かなり大きな被害だったのでどうしたらいいんだろうって、最初は呆然としてしまいました。窯の修復には数ヵ月はかかると思いますし、アトリエの屋根の修繕など、やることはたくさんあります。ただ、私が作品を作るときは被害を受けたものとは別の電気釜を使っていて、こちらは電気さえ通れば動かすことができるので、早めに制作活動に戻れたらいいなと思っています」
取材で訪れた時は電柱も倒れ、電気メーターも転がっていて、アトリエに電気が通じるにも日時を要する状態でした。そんな最中ではありますが、香南先生は現在、新たな技法を思案しているとのこと。これやんに出品してもらっている「躍動する生命体」とも異なる手法だと言います。
「たまたま実験でガラスを溶かして垂らしてみたら、とても面白い造形になったんです。これは何かできるかなと思い、それをもとにいろんな形を組み上げたりしたらどんなものができるのか、試行錯誤しています」
新しい作品が完成したら、またこれやんに出品したいと語ってくれた香南先生、アトリエの復旧、さらには今後の先生の制作活動のサポートとして、ぜひ出品中の作品を購入して香南先生を応援していただければ幸いです。
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