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うえちゃんの“スターウォーズ・クッキー”アート化プロジェクト! ~その1~

日本人初の海外ディズニー公認のユーチューバー、うえちゃん。その彼がカリフォルニアのディズニーランドにオープンした新エリア「スター・ウォーズ・ギャラクシーズ・エッジ」のオープニング・パーティに招待され、そこにいた人しかもらえない記念クッキーをもらいました。こんなにも美しくて貴重なクッキーは“もったいなくて食べられない”という話を聞き、それならば、これやんのアーティスト、田羅義史先生にクッキーを永久保存してもらい、アート作品にしようというプロジェクトが始動しました。
田羅先生から完成したクッキーを贈呈されるうえちゃん。クッキーの包装紙から台紙まで、ディズニーから貰ったときのままの状態に驚くうえちゃん。

倉本:なんとも美しい作品やけど、題材になっているのはクッキーですよね? まずは「スター・ウォーズ」と描かれた、このクッキーの素性や背景などを教えてください。

うえちゃん:2019年春にカリフォルニアのディズニーランドに「スター・ウォーズ・ギャラクシーズ・エッジ」という「スター・ウォーズ」をテーマにした新エリアがオープンしたんです。そのオープニングにあたって、日本を含む世界中からマスコミを集められたのですが、総勢100人にも満たない人数でして、ありがたいことに僕もその場を取材をさせていただきました。現地にはハリソン・フォードをはじめ「スター・ウォーズ」の役者さんたちが来場し、打ち上げ花火などのいろいろなアトラクションが用意された実に大掛かりなイベントでした。このクッキーはそのイベントで関係者だけに配られた記念品なんです。

「スター・ウォーズ・ギャラクシーズ・エッジ」のイベント時の写真。左から「スター・ウォーズ」のプロデューサーであるジョージ・ルーカス、俳優のビリー・ディー・ウィリアムズ、マーク・ハミル、ウォルト・ディズニー・カンパニー会長兼CEOのボブ・アイガー、俳優のハリソン・フォードという錚々たる面子。

倉本:その時、そこに来た人しかもらえないんだから、このクッキー自体に100分の1というエディションがあるわけで、価値のあるもんやね。それを、将来を嘱望される日本人アーティストに……。

うえちゃん:作品にしていただきました!

完成したスターウォーズ・クッキーを樹脂標本化した作品

激レアクッキーをうえちゃんが手に入れた時に
「田羅さんに渡したら、これが作品になるのでは?」と思ったーー倉本

倉本:ちょうどプロジェクトの直前に、田羅さんの作品を「これやん」に出品してもらっていたんです。田羅さんとは表参道のスパイラルで毎年開催されているイベント“SICF”で知り合ったんやけど、お菓子や食品を樹脂でコーティングして、見たこともないようなものを作り出していて、面白い表現方法だと驚きました。で、この激レアクッキーをうえちゃんが手に入れた時に、「田羅さんに渡したら、作品になるのでは?」と思って、持ってきたわけです。

うえちゃん:現地で取材した人たちはみんな“もったいなくて食べれないよね”って話していましたけど、しばらく飾ったとしても、結局食べ物だから食べるしかないという。

倉本:食べ物って普通はそういう宿命やんか。そこに田羅さんは「永遠」を与えたわけで。

うえちゃん:あらためて、ありがとうございます。

田羅:貴重なチャンスだったので、やらせていただきました。このクッキーには銀色の星形の装飾があったりして、しかもちょっと光っていたりしていました。持ってきていただいたときには「ほんとに食べられるのかな?」と思いましたが、袋を開けてみたら本当にバタークッキーのいい匂いがして、ちゃんとした食品であることが分かりました。

海外ディズニーのセレモニーでは記念品のお菓子を配ることが多い
これを見たらみんな喜ぶと思いますよーーうえちゃん

うえちゃん:海外のディズニーはこういったセレモニーを盛大にやりますが、記念品のお菓子を配ることが多いので、これを見たらみんな喜ぶと思います。

倉本:お菓子という残しておけない記念品が、田羅さんの手にかかったら「残すことができる」んだから、それはスゴイことだね。ちなみにこのクッキーを樹脂標本にするのは難しかったですか? 例えばこれまでの作品とは制作過程が異なったりとか。

田羅:そうですね。まず、色を固定させるために薬品に浸けますが、このクッキーにはいろんな色素が入っていて色が抜けやすく、クッキー本体やデザインに他の色が移ってしまうのが難点でした。バターのいい匂いがするというのは油がいっぱいということでもあり、コーティングをしたあとにクッキーの中からだんだん油が滲み出てしまったので、油をいったん完全に抜きました。その間に色が減退したりして……最初は2ヵ月くらいでできると思ったのですが、実際やってみたら色が多いこともあって難しかったですね。

薬品につけ込む作業で「スター・ウォーズ」のロゴが退色してしまった写真。星やミッキーなどお菓子の細かいパーツごとにテストをしながら薬品に浸け込んでいく。
色抜けしたロゴなどを修復し、樹脂で凝固をさせていった行程の写真。

倉本:そんなに苦労して完成まで持って行ってくれたっていうのは、もうそれだけで芸術品ですよ。

うえちゃん:しっかりロゴも残していただいて。

一つしかないクッキーなので失敗できない難点がありましたが
いろいろと勉強になりましたーー田羅

田羅:油を抜く処理をしている間に、ロゴの部分が割れてきたときは一瞬、諦めかけました(笑)。でも、ちゃんとできてよかったです。僕が標本化している「コアラのマーチ」のようなお菓子なら市販品なのでいくらでも替えがききますが、これはひとつしかないものなので、例えばクッキーの星のパーツひとつを薬品に浸けるときも「溶けて無くなったりしないかな」と、ひとつひとつ確認しながら慎重に進めました。手法は食品によって変えますが、基本的には変える過程で失敗することを前提に作っていたので、今回は一つしかないクッキーということもあり、失敗できない難点がありましたが、いろいろと勉強になりました。

倉本:この作品を制作するに当たって、田羅さんが考えていたことは?

田羅:この作品のポイントはパッケージの中に入っていたものをそのまま固めるっていうところでした。このクッキーも添加物や原材料など、すべて何が入っているのかはわからないものですよね。それを固めて、食べられないようにして、鑑賞する……というのがこの作品のコンセプトでした。

倉本:食べ物だけではなくてカブトガニの鞄を作ったり、田羅さんはほんとにいろいろな手法を持っていますね。

田羅:基本的に、日常の考え方を変える作品を作るっていうのがベースにあり、表現方法や技術は後からついてくるものだと思っています。コンセプトを実現させるためには、何でもやるというスタンスです。

うえちゃん:それにしても、感動です。僕はこのクッキーは本当に記念としてとっておきたかったですから。

倉本:今回のプロジェクト自体“とっておきたい”っていう発想からスタートしたんやもんね。

田羅:もう食べれなくなっちゃいましたけど。

うえちゃん:でもいいです、飾っておきたかったから。

倉本:そういえばうえちゃん、今度また仕事でカリフォルニア・ディズニーに行くんだよね。向こうのディズニーの人にこのクッキー見せてきてよ。

うえちゃん:それ、ナイス・アイディアですね。持っていってきます!

田羅先生、制作ありがとうございました!
田羅先生の作品はコチラ

うえちゃん
コメディアン/ユーチューバー。世界中すべてのディズニーパークに行き、日本のみならず、海外のアーティストなど200人以上の著名人のディズニー案内をしてきた、ディズニー通でもある。雨の日の楽しみ方、三世代での周り方、カップルのデートコースなどなど20通りの以上の案内コースがある。ディズニー映画にも詳しく、サンフランシスコのピクサースタジオ本社などに呼ばれてロケをするほか、ディズニー公認のYouTubeチャンネル“うえちゃんTV”を展開中。

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