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YOUと語る芸術談義 ~好きなものに囲まれて暮らす楽しさ~

倉本と親交のあるゲストを迎えてアートについて語る芸術談義。今回ご登場いただくのはタレント・女優のYOUさん。倉本にとって長年の友人であり、音楽仲間でもあるYOUさんは、ファッションはもちろんアートも大好き。ピンときたものを迷わず買い、好きなものに囲まれて暮らすYOUさんに、アートの魅力を語ってもらいました。

クラシックなものと新しいアートの
両方を知っていると幅が広がるーーYOU

倉本:YOUはアートに造詣が深いけど、創作活動をしようと思ったことはある?

YOU:私ねえ、決して絵が上手いとかいうんじゃないんだけど、こちょこちょするの好きだから嫌いじゃないよ。だけど、例えば“八代亜紀さんが二科展!”とかを見ているわけじゃない? あと、工藤静香さんとか。そうすると“偉いな”って思うわけ、こんなでっかい絵を時間をかけて描いて。しかも、その作品をそういうところに出すなんて。もし、私が絵を描いたとしても、“てへ”とか言ってるだけじゃないかな。でも、そういう信じられないくらいの面倒臭さや恥ずかしさを越えないと、やっぱり認められないんだよね。いくら私が“細かい作業は好きなんですけど”なんて言ってもさ。

倉本:それを“出したらええやん”って言われて、何気なく出したら“すごいやん!”って反応が返ってくる。そういう感じのこともあっていいと思うのね。

YOU:そういうのがいいんだよね。絵って分かんないじゃない? バンクシーだってニューヨークが“良い”って言ったら、急に小池知事もそれに続けみたいなさ。“なんだそれ?”だけど、それでいいんだと思う。とにかく何かをやっていけばすごさって、絶対に出てくるから。

倉本:YOUはファッションも先鋭的だけど、例えば最先端をいくハイブランドとかってアートとも親和性があるでしょ? だから生活とアートが近いところにあるのかなって思うんだけど。

YOU:たしかに流行りとかもあるけど、やっぱり靴やバッグって如実にそれがあるよね。昔のものは秀逸な形をしていたりするし、そういうものを残せるブランド力があったのも、それが受け継がれているのもすごい。一方で若いデザイナーを入れて一回めちゃくちゃにするのも見ていて楽しいし。そういう意味ではブランドもアートを大胆に取り入れているから、そこから若い人がアートに触れるチャンスにもなっているよね。そういう機会がもっと増えるといいと思う。修学旅行で京都に行って大仏を見るんでもいいんだけどさ。

倉本:大仏をアート目線で見てもええんやけどね。

YOU:日本って歴史ばっかりにうるさいじゃない? クラシックなものと新しいアートの両方を知っていると幅が広がるんだけどね。

“絵は高い”っていうけど
最初はどんな人の絵でも安かったーー倉本

倉本:古いものでも昔は新しいものだったわけで、最初はインパクトを持って出てきたけど、時間が経つことでそれが伝統、古典になっている。だから“絵は高い”っていうけど、最初はどんな人の絵でも安かったんだよね。

YOU:そう。だってさ、草間彌生さんの水玉のモチーフがあるじゃない? それを“ただの水玉やん”って言ってた人、多分ごまんといたよ。それが急に“ヤバイ、すごいよ、やっぱり彼女”みたいになって、とんでもないことになっちゃうんだから、アートって面白いよね。だってそれがCDやレコードだったら、それがどんなに良くても悪くても3000円で買えるじゃない? それがアートになると“正直よくわかんない”ってなっちゃう。

倉本:YOUは「これやん」にも出品している福本歩さんの作品を以前に買ったことがあるよね。

YOU:そう、お寿司のお皿。めちゃおもろいし、頭の中でそこにネタを置いた感じとかも“かっこいいな”と思ったよ。でも発想だけじゃなくて作品自体がきれいじゃなかったら、多分ピンと来なかっただろうけど、あれだけ綺麗に仕上げる技術をお持ちだったから“すごいなー、好きだなー”と思って。

倉本:芸術品はよく買ったりするの?

YOU:私、いろいろ買ってるのよ。それで友だちにバカにされたりしている。ちょっとしたものに何十万とかさ、出しちゃうから。私が買うのは絵が多くて、全然知らない人の絵も買ったりする。人に聞いたり、友だちがアトリエやってたり。歩いてて、ヘンな爺さんがやってるギャラリーを覗いたりするのも好き。見に行って“えー、めっちゃ良くない?”って買っちゃったりするの。

倉本:ええな。日本人に絵を買う習慣がなさすぎて、買うのがおかしなことみたいに言われたりもするんやなあ。

YOU:父親が趣味は悪いけど、なんやかんやと買ってくる人だったわけ。“なんなのこれ?”って。いちばん意味がわからなかったのは、ものすごくでっかい真っ赤な天狗を買ってきたとき。父親は急にリビングの北側の壁だけ、鮮やかなブルーに塗っちゃったりする人だったの。だから私がおかしいのって父親譲りだと思う。私が買ってくる絵とかをうちの息子が見たら、天狗に近いものがあるんじゃないかな。

倉本:YOUにもちょっとこれやんのアーティストを見てほしいね(パソコンでこれやんの作品を見てもらう)

YOU:このなべしきは綺麗ね。あと、この透明なのは何?

倉本:これは食品を樹脂で固めて標本にしているのよ。袋やパッケージに入った中味を可視化してくれるアート作品だね。

YOU:へえ、これは好き。可愛いし、綺麗。あと、この球体の作品はどういうこと?

倉本:これは球体に何気ない風景絵を超リアルに描いていて、それが球体なのにすごく整合性がとれていて、それを成立させて見せているという。

YOU:え、これ描いているんだ! やばいね、狂気を感じるし、好きだわ。面白いねえ、このサイト。ちょっと見ただけでも面白いものがたくさん見つけられた。

アートって自分が居やすい場所作りの
手伝いをしてくれるような気がするーーYOU

倉本:買った絵はどんなふうに飾っている?

YOU:いちばん大きいのはそのまま立てかけてあるけど、だいたい額装して廊下に掛けたり部屋に飾ったりしている。

倉本:YOU美術館やなあ。

YOU:せやねえ。でもさ、本棚や絵って人に見られるのが恥ずかしいのよね。自分の趣味だしプライベートな部分だから、ずっと見えないところに隠していたんだけど、3、4年前から“もういいや”ってなって、ちゃんと飾るようになったの。

倉本:家にアートがあることの良さって、どんなことだと思う?

YOU:私は実家に普通にあったからね。あとは、好きなデザイナーの友だちの家に行って“あ、なるほどね”なんて学んだりするのが楽しいの。そして、自分の部屋に座った時に、見えるものが大事な人からもらったカッコいい絵だったら、気分も上がるし。“お気に入りの場所”感が上がるよね。それは絶対にある。だから壁に何にも飾っていないって私には考えられない。家を作っていく時に、飾るものとか絵とかって、その人らしさがすごく出やすいぶん、ちょっと怖いけど、アートって自分が居やすい場所作りの手伝いをしてくれるような気がする。

倉本:自分の居場所を満たしてくれるアイテムかもしれないよね。自分らしさというか。

YOU:気に入ったものを頑張ってゲットして、それを置いておくだけで、好きで買ったものに囲まれるだけで、すごい幸せな気分になれると思う。それが自分で作ったものでもいいし。だって無駄なものばかりなわけがないんだから、特にアートとかって。断捨離ばっかりする人って人間としてもおもしろくないと思うし、私は自分が大事にしているものに囲まれている人のほうが好きかな。高齢者だとどうせ死んじゃうから整理しないとって風潮があるけど、私はそこそこに。ある程度好きなものに囲まれて心安らかでいたいタイプね。

倉本:好きなものに囲まれていると「ああ、こんな幸福感があるのか」っていう気づきがあるよね。それに気づかずに生活している人が多いような気もするし、そういうところにこそ、アートって機能するものだと思う。

YOU:それで偶然にも“その絵、すごくいいね”って言われたりしたら、ちょっと嬉しいもん。

YOU/プロフィール

東京都出身。18歳でモデルやミュージシャンとしての活動をスタートさせ、現在ではタレント・女優・ファッションディレクターとして活躍。CMやバラエティ番組に数多く出演するほか、女優としても映画やドラマ、舞台で活躍中。2004年の映画『誰も知らない』ではキネマ旬報助演女優賞を受賞。その他にも雑誌のエッセイや連載を持つほか、2014年よりファッションブランド“PEELSLOWLY”のディレクションを手掛けている。

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