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エルメスから世界的アーティストへ~「LE GRAND PRIX DU CARRÉ HERMÈS」をグランプリ受賞者の京森康平が振り返る。

ハイブランド、エルメスのスカーフデザインコンペティション「LE GRAND PRIX DU CARRÉ HERMÈS」にてグランプリに輝いた京森康平先生。先日のニュースでも取り上げましたが、世界中から5,500人のアーティストが参加したこのコンペティションは伝統よりも革新性や個性が重視された模様。そんな世界的なコンペを勝ち上がっていったその経緯について、倉本が伺ったインタビューをお届けします。

自分らしさを出すためにも
代表作と思うものを直球で提示しましたーー京森

倉本:グランプリ受賞、おめでとうございます! まずは今の気持ちを聞かせてください。

京森:正直、自分でも驚いています。

倉本:僕はスカーフのことをアートだと思うくらいに好きで、しかもエルメスのスカーフといったら世界最高峰ですよね。世界中の名だたるデザイナーやアーティストが挑んだコンペだったのでは思います。

京森:僕もエルメスはファッションでありながらも、揺るがない伝統を持った頂点にいるブランドだと思っています。そんなエルメスのなかでもスカーフというのは、他のハイブランドですら立ち入ることができないほどに独自性があるので、ぜひ挑戦したい気持ちがありました。

倉本:そういう意味でも、今回のグランプリ獲得はすごく価値があることで、世界中のメディアに注目してもらいたい気持ちもあります。この「LE GRAND PRIX DU CARRÉ HERMÈS」のコンペティションは、2019年5月にスタートしたようですね。

京森:designboomという海外のウェブマガジンを通じて開催され、一次選考は誰でも応募資格があり、これまでの活動経歴や自身の作品を10点、それと自己紹介のテキストで審査されるというものでした。

倉本:そのときに京森さんが提出したのは、今の作風のものでしたか?

京森:はい、僕はアートだけで勝負しようと思っていました。5,500人が応募したなかから100名が選ばれ、二次審査はスカーフの図案ラフを提出するというものでした。そこからはプレッシャーを感じました。

倉本:スカーフの図案にはエルメス側のテーマがあったりはしましたか? あとはエルメスのスカーフを研究したりとかは?

京森:もともと服飾系の勉強をしていたので、作品を作るうえでの色味やディテールは研究していました。先方が提示するテーマはなかったので、エルメス側が何を求めているのかを考えたときに、僕が一次審査を通過できたのもアートに振り切って攻めたからだと。ですから、既存のスカーフっぽいデザインを踏襲せずに、オリジナリティがあって個性の強いものを求めていると考えました。そこで自分らしさを出すためにも、自分の代表作と思うものを直球で提示しました。時代的にも今はハイブランドがストリートのテイストを取り入れていますし、伝統的なものよりも若いエネルギーを拾いたいんじゃないかなと、勝手に思っていました。

京森さんの作品にはエネルギーと同時に歴史的なモチーフや、
意味が込められている。そこが評価されたのかと僕は思いますーー倉本

倉本:なるほど、その考え方が二次審査の勝敗を分けたのかもしれませんね。確かに今のハイブランドに見られるストリート化の流れもありますが、そういったエネルギーに加えて京森さんの作品には、それと同時に歴史的なモチーフや意味が込められている。そこがエルメスに評価された部分なのかと、僕は思います。二次審査の後はどんな感じでしたか?

京森:二次審査を通過した11人はファイナリストとして、本国であるフランス・パリの本社に招待され、3日間の研修を受けました。二次審査を合格したときはとても興奮しましたし、それと同時に“本当に自分がエルメスの本社にいくのか”とも思いました。

倉本:研修では世界各国から集ったファイナリストに会ったわけですか?

京森:はい、映像作家の方や建築家とジャンルもバラバラで、みなさんが提出した作品のいずれもが、既存にありそうなモチーフではないものばかりでした。それと、この場所に来ているというだけで、お互いが認め合えるカジュアルな雰囲気もあり、すぐにクリエイティブな話ができるという良い経験ができました。

倉本:なるほど、二次審査の読みも当たっていたのですね。これは正直に言ってほしいのですが、パリでみなさんの作品を見たときに“自分は何位”くらいだと思いましたか?

京森:そうですね……ある種、1位か、でなければ圏外かという感じです。でも、それくらいに自信は持っていました。

倉本:パリの研修で京森さんが得たものは何でしたか?

京森:エルメスの物作りに対する姿勢ですね。エルメスはマーケティングを一切しない物作りをしていて、作りたいものに対しては、例え数年かかったとしても作り上げると言っていて、そういった一切の妥協をしないモノ作りの姿勢、それが自分のクリエイターとして活動していく思いにも共鳴して、感動しました。

倉本:今、話を聞いて鳥肌が立ちました。エルメスは商業文化の企業でありながらも、アートにとって一番大事な部分とも通底していて、それでいて文化を牽引しているというわけですよね。世の中に合わせていくのではなく、引っ張っていくことで成功している。つまり、エルメスはアーティストにとっても夢を与える存在もあったと。それを知ってから最終審査に入ったというのはすごく良いことだと思います。最終の制作についてはどんな風にして進めましたか?

京森:ちょうど「いんすぴ」の作品制作とも重なっていて、制作のスケジュールがタイトでした。僕の作品の強みはデジタルデータで作ってから、そのあとからレジンをのせたりして艶を出したり、立体的に見せていくというものですが、エルメスにも同じ加工で最終的に仕上げてほしいという話をすでにしていました。なので、最終審査で提出した作品も、大判スカーフサイズのキャンバスを木枠張りにして、壁に掛けられるアート作品として丁寧に仕上げました。それこそ提出前は徹夜が続いたりもしましたが、他の人がやらないアプローチができたので、その部分の強みはあったのかなと思っていました。

このコンペのおかげで“世界基準で”自分の作品を伝えることができたのが
今後、世界で挑戦していきたい自分にとっては大きな糧になったーー京森

倉本:それだけのエネルギーを注入して作った作品が、審査員の心を動かしたのでしょうね。ちなみにエルメスの方はそれまでに京森さんの原画を見たことはあったのですか?

京森:招待でフランスに行ったときは作品を持っていかなかったので、最終審査で初めて彼らに原画を見てもらいました。

倉本:そうでしたか! 京森さんの作品は原画を見たときにすごく感動を覚えるので、最終審査で原画を見せるのは一番良い流れだったのかもしれません。今回のコンペで京森さんが得たもっとも大きなものは何でしたか?

京森:昨年くらいからアーティストとして世界に挑戦したいと漠然と感じていたのですが、そうはいっても世界って、何かしらのきっかけがないと飛び込めるものでもなくて。そういう意味でもこのコンペティションは、自分を後押ししてくれたと思っています。海外のクリエーターと交流する機会もあって、エルメスのようなスペシャルなブランドに自分の作品について話すこともできました。このコンペのおかげで“世界基準で”自分の作品を伝えられたことが、今後自分が世界に向けて挑戦していくためのきっかけになり、それが自分にとっては大きな収穫でした。

倉本:今後、京森さんのアート作品がエルメスのスカーフとなって世界中のショップに展開されるわけですよね。それって、とてつもない訴求力とスピード感をともなって京森さんの作品が世界に認められていくことだと思います。その意味でも前例がないというか、このあとでどうなっていくのか……僕はとんでもないことになるような予感がしていて楽しみです。頑張ってください!

京森:ありがとうございます! 頑張ります!

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