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0410_1947

足立篤史Atsushi Adachi

作品概要

制作年
2018年
使用素材
新聞縮刷版(1945~47年 日本)、イラストレーションボード
サイズ
115mm(幅)×27mm(高さ)×13mm(奥行き)
特筆事項
専用の箱付き

これやんの作品コメント

過去の戦争の兵器や軍艦、飛行機などをモチーフに、当時の新聞などの記事を用いて制作するというユニークな作風で、「岡本太郎現代芸術賞」や「TAGBOAT AWARD」の入選経験もある人気作家の足立篤史さん。今回お持ちいただいた作品のテーマは終戦。戦時中は輸送艦として、戦後は復員船として使われた船をモチーフに、当時の新聞で刷られた復員や復興、戦後の記事を用いて制作されています。当時の記事がこうやって現代アートとして今に蘇って、もう一度その頃に思いを馳せられるという……まさにアートでやらなければならないことを具現化したような作品です。
SOLD OUT

STORY

倉本:足立さんは古い新聞を使って戦艦を作っていますが、どういうプロセスでこういった作品を作るようになったのですか?

足立:もともとはデザイン科志望でしたが、浪人時代に予備校で“本を作る”という課題があって、普通に本をデザインしても面白くないと思い、本を切り刻んで立体作品にしたのが始まりでした。

倉本:本のデザインがきっかけだったんですね。戦艦がモチーフなのはどうしてですか?

足立:僕自体“ミリタリーオタク”と言うか、子供の頃からずっとプラモデルも好きだったんです。例えば、零戦の歴史を調べると、パイロットの暗い歴史とかもあったり、ただカッコイイだけではないものが段々と見えてくるようになりました。作ろうとするモチーフをそういう風に見ることによって、過去の記憶を思い出させるというか。作品に対しての記憶が刻まれていることを視覚的に表現しようと思って、こういった手法になりました。

倉本:コンセプチュアルですね。まずは昔の新聞の記事を探してから作っていくんですよね?

足立:はい、以前はそういった記事が手に入りづらいと思ってコピーしたものを使ったりしていましたが、本物の記事のほうが説得性もあるので、今はモチーフとなる年代の記事を使っています。昔の新聞や海外の雑誌を探して、その記事に合致したものを作っています。逆に作りたいものが先にあるときは本屋さんとか、色んな所からピンポイントな資料を探しながら作っていきます。神田界隈の古書店や蚤の市とか行ったり、ネット・オークションなどを調べて入手していますね。

倉本:記事を集めたあとは、どうやって立体にしていくのですか?

足立:イラストレーション・ボードを重ねたり削ったりして原型を作り、記事を貼り付けていきます。細かい所はレーザーカッターなども使いながらひとつひとつ組み立てます。新聞などの記事は状態によっては脆いときもあるので、そういう時は接着剤やスプレーを吹いて強化しています。

倉本:やはり戦争へのアンチテーゼとしての思いも込められているんですか?

足立:もちろん根本的にそういう思いはありますが、それを大々的に言うのも正直ちょっと違うと思っています。戦争って人の汚い面が一番出ていて、そういった状況での人間の行動というもの、それと兵器や軍艦などの美しさ、機能美といった部分のほうに自分としては興味があります。