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blessed scrum

永島千裕Chihiro Nagashima

作品概要

制作年
2022年
素材
アクリル、紙
サイズ
318mm(幅)×420mm(高さ)×20mm(奥行き)

倉本美津留のこれやんコメント

あどけなさが残る少女と外界を色彩豊かに描くアーティスト、永島千裕さんが初登場です。こちらは有田焼の柿右衛門様式風に描いた神様たちが陣形になって、恵みを与えるためのスクラムを表現したという作品。柿右衛門様式らしい印象的な赤や青の配色に加えて、神様と少女を軽やかなタッチで描いていて、永島さんらしさに溢れています。ご本人曰く、“描くことで無心になれた”というこちらの最新作、ぜひお家に飾ってもらいたい一枚です。
SOLD OUT

STORY

倉本:絵を描くことを生業にしようと思ったきっかけは何でしたか?

永島:小さい頃からお絵描きが大好きで、紙があれば絵を描いていました。私はそんな子供がそのまま大人になった感じなので、絵の世界なら生きやすそうだなと思ったのが、きっかけと言えばそうかもしれません。それで美大に進学したのですが、専攻の油絵をやっていたのは初期の頃だけで、すぐに今のような感じの画風へと移行して女の子を描いていました。

倉本:漫画やアニメなどからの影響も感じますが、どんな風に今の画風へたどりついたのですか?

永島:小さい頃から漫画が好きで、真似して描いていましたが、その頃はそれが絵画表現と結びつくとは思っていませんでした。はじめて奈良美智さんや村上隆さんの作品を見たときに“こういうふうに描いてもいいんだ”って思ったのがはじまりでした。それから絵画でも漫画的な表現や、リアルではないけど絵画的な表現で人物を描くということをやるようになりました。

倉本:永島さんの作品はキャラクター的な主人公がいるところは漫画的ですが、まわりの世界観には日本画的なところもあり、その共存が独特ですね。

永島:描くモチーフはその都度変わりますが、最近は縁起物をモチーフにすることが多いです。昔から宗教画に興味があって、祈りの形を絵画するということに憧れていました。こういった縁起物や神仏といった、祈りや願いを形状化したモチーフを描くことで、自分も祈りに参加できる感じがあるなと思って。それに見る人にもモチーフの持つ意味合いを分かってもらいやすいですし。

倉本:作品にはいろんな要素が詰まっているので、見るたびに発見があるという楽しさもありますね。

永島:細かく描いているので、いろいろ見てほしいなと思います。全部を正面向きで描いているのは、いちばんモチーフがそれらしく見える方向だからで、“劇場型”なんです。彫刻は360度で形を見せられますが、絵画は前から見たときに一番いい形を見せたいと思っています。

倉本;作品に登場する女の子は誰をモデルにしているのですか?

永島:たぶん、自画像なんだと思います(笑)。自分が見たものや感じたことを人物表現として描いているので、自分の感覚の具現化でもあるんです。描き方はそのときどきで変わりますが、過去の自分の作品を見ても、こんな感じの5頭身くらいの女の子が登場していますね。少女期の不安感や純粋で傷つきやすい感じ、あとは無垢さとか……世界と触れ合ったときの“揺らぎ”みたいなものを描けたらなと思っています。私自身、その頃の感覚が今もはっきりと残っています。