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作品概要
- 制作年
- 2011年
- 使用素材
- シルクスクリーン
- サイズ
- 422mm(幅)×295mm(高さ)
- エディション
- 1/5
- 特筆事項
- 額装無し
これやんの作品コメント
STORY
倉本:門馬さんが風景を表現するようになった経緯から話を聞かせてください。
門馬:大学生の頃、2時間かけて電車で通学していて、毎日同じ風景を長時間眺めていました。そうしたら季節はもちろん、天気や光で毎日少しずつ景色の見え方が変わることに気がついて、車窓から気になった場所に実際に足を運んだりして、風景を描くようになりました。昔、植物園の近くで働いていた時に、春の桜や初夏の皐月を観に来る人たちを見て、小さな変化に感じて季節を楽しむことで、豊かな生活を送れているんだと思うようになりました。
倉本:まるで「古今和歌集」のような感覚ですね。
門馬:忙しい世の中では忘れがちですが、少し意識を変えるだけでいろんなことが発見できるじゃないですか。その感覚が日々の生活のなかでも大事だと思っているので、水面や季節で変化しやすい自然の景色を描くようになりました。それとは別で人工物をモチーフにすることもありますが、その場所を知る人同士で記憶や体験を共有できるのも、風景の面白さだと思っています。
倉本:そういった風景を写真ではなく、シルクスクリーンで表現するのが面白いですね。
門馬:気になった景色を実際に観に行ったときに感じた温度や湿度、記憶を反芻しながら描くのが私にとっては楽しいんです。写真はその瞬間を切り取れますが、私はそれを自分のなかで租借しながら感じたものを残していくので、“ここが良かった”という部分が強調されて、印象に残らなかったものは抜け落ちたりもします。
倉本:そうやって情緒を表現しているからこそ、門馬さんの作品は印象的なのですね。シルクスクリーンという技法を選んだのはどうしてですか?
門馬:油絵でキャンバスに筆で直接的に描くのが、自分には“責任が重い”と感じたからです。その点、シルクスクリーンは刷らないと分からない部分があって、だからこそ客観性を保てるというか、思い入れが強くなり過ぎないのが良いんです。あとシルクスクリーンはインクの種類も多くてさまざまな色の表現ができて、色味を重視する私には魅力です。
倉本:門馬さんの色味には中間色のイメージがありますね。
門馬:まず、自分の目で見た風景の色を大切にしていますが、母の影響もあるかもしれません。お茶の先生をしていた母はいつも、季節によって着物をどうやって合わせるかを大事にしていました。その母の着物の色味は中間的だったり、落ち着いた色合いが多かったですね。