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SHINOBIMON-Kunoichi-金遁蛙

浅香弘能Hiroyoshi Asaka

作品概要

制作年
2019年
使用素材
真鍮、レジン、金箔、畳、着物帯、アクリル
サイズ
150mm(幅)×150mm(高さ)×100mm(奥行き)
特筆事項
展示は壁掛け/台置き、どちらも可能です。

これやんの作品コメント

刀や手裏剣といった日本の武具を石で表現し、国内外で活躍するアーティストの浅香弘能さんが初登場です。これやんのために選んだ、手裏剣の人気シリーズをお持ちいただきました。忍者の遁(とん)術をテーマにしていて、こちらの作品は金遁。その名の通り、畳には小判をまき散らしています。樹脂を用いて研ぎ澄ました手裏剣の造形、赤色の畳、さらには西陣織で彩った畳の縁と、細部までこだわった造形を手裏剣が畳にささった瞬間で表現することで、遁術と畳返しから忍者が逃げる姿が想像できてしまう、そんな面白く捉えられるユーモアが込められているのも、この作品の魅力です。
SOLD OUT

STORY

倉本:大理石で刃を表現するに至った経緯はどういったものでしたか?

浅香:僕が生まれ育った大阪・堺は刃物で有名な街なので、子供の頃から身近にあった実物の刀や手裏剣が大好きでした。その後、大学で彫刻を学んだときは木を彫りたいと思っていたのですが、陶芸をやられていた先生に“石を彫ったらいいよ”と言われたのがきっかけで石を彫りはじめました。そのうちに自分にしかできないことを考えるうちに、大理石で刀を作ったらどうなるかと思いつき、彫刻は人体が題材であることが多く、武器をテーマにしている人はいないなと。

倉本:確かに前例はないですが、加工が難しい大理石で刀を作るとは、自ら険しい道を選ばれたのですね。

浅香:おっしゃるとおりで、石で刀を作る技術は簡単に体得できるものではなくて、石山から刀にできる素材の石を選び、割って、削りだし、研いでいく……学生時代からおよそ10年間、試行錯誤しながらその技術を磨きました。

倉本:10年ですか! どうやってそんな苦行を耐え抜くことができたのですか?

浅香:精神性ですね。石と向き合うという苦行を越えたとき、自分に何ができるのかと考えたら、これは侍や武士道の精神に近いものだということが分かりました。それからは日々の作業と刀を作りたい欲求がリンクし、自分が思い描く石の刀で、日本の精神性を表現したいと思うようになりました。そんなより身近な存在として手裏剣のモチーフが生まれたのです。これはただの手裏剣ではなくて、遁(とん)術と畳返しを組み合わせています。

倉本:最近では大理石で発砲スチロールを模した作品も作っていますが、刀の作品しかり、そのどれもが人とは違うユーモアがあるところに浅香さんらしさを感じます。

浅香:作品によってもコンセプトは違いますが、自分がやっていることはどれも同じです。誰もやっていないことと、反骨精神を限界まで極めたいということ。作品制作自体はストイックですが、作品を見る人にとって作家の苦労は関係ないと思っているので、楽しんでもらえる作品であることを念頭に制作しています。