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POSITIVE HAND -上手投げ-

木村浩之Hiroyuki Kimura

作品概要

制作年
2020年
素材
水墨画用紙、墨
サイズ
350mm(幅)×270mm(高さ)
特筆事項
額装済み
販売価格¥41,800(税込み)

これやんの作品コメント

相撲をモチーフにしたアート作品を制作する木村浩之先生。「POSITIVE HAND」と名付けられたこの作品は、2020年に木村先生が個展で制作したメイン作品のひとつです。先史時代の人類が壁画に描いたネガティブハンド(※洞窟の壁に手をあて、口に含んだ墨を吐きつけて手の形を壁に写す技法)から着想し、その逆の手法として手の部位に墨を付けて紙に押し付け、力士の組み手を描いています。この作品は“上手投げ”をテーマにフリーハンドで制作され、指で描くというシンプルな表現のなかに豊かな表情を持っているのが魅力です。手を直接用いることで命の鼓動を画面に写し取ることをコンセプトにしたエネルギー溢れた作品です。
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STORY

これやん:木村さんは相撲にまつわる絵を描き続けていますが、そのきっかけは何でしたか?

木村:大学で日本画を専攻したときに、伝統的なモチーフよりもシンプルに自分が好きなものを描きたいと思い、プロレスを中心を描いていました。卒業する頃にもう少し日本的文化のあるモチーフを描きたくなり、そのなかでも肉体をともなった動きのあるものが良いなと思って、自然と幼い頃から好きだった相撲へ辿り着きました。自分の作品を世界に発信していくうえでも、日本的なルーツを持っている相撲はモチーフとしても分かりやすいですから。

これやん:どのように力士を描きはじめたのですか?

木村:いろんな相撲部屋を回り、受け入れてくれそうな部屋に足繁に通いました。電車に乗って部屋へ行き、朝稽古を二時間ずっと描かせてもらうという日々を過ごしました。朝稽古は基本的に動きっぱなしで、力士の動きがとても早いんです。最初のうちはその瞬間の動きを描こうとしても、上半身の途中までしか描けずに終わっていました。それでも毎日、力士を見ながら墨筆を動かすことで、手が組み手や動きを覚え、その瞬間を見て全身を描けるようになりました。

これやん:稽古を描くのも修練の賜物なんですね。普通なら写真を撮ってあとから描こうと思うところを、その瞬間に向き合って捉えにいったという。

木村:それができるようになったのは単純に描いた枚数です。これまで朝稽古で描いた半紙は全部とってありますが、二万枚を超えていました。そのおかげで、自分の絵は人の身体の動きを表す描写に特化できたと思っています。でも、そのうちに描くだけでは物足らなくなり、“自分も(相撲を)やらせてくれ”となって、朝稽古に参加するようになりました。それから相撲クラブに入門し……今ではどちらかというと、人に相撲を教える立場にあります(笑)。

これやん:(笑)。本当に相撲一筋な木村さんですが、改めて相撲の魅力をどこに感じますか?

木村:相撲を取る人と近くで接していると、彼らは毎日地味な稽古をくりかえして身体を鍛え、作り上げていることが分かります。身体は1~2年でできるものではなく、7~8年……と、時間をかけて肉体を作り上げる過程が面白いんです。もちろん、その境地まで達しない力士もいるなかで、そこまで辿り着いた力士には圧倒的に輝く瞬間があります。そういう力士を間近で見たときは感動しますね。

これやん:木村さんの作品には、力士の組み手のしなやかさが表現されていますね。

木村:力士の組み手は普段の私達の生活のなかにはあり得ない動きがあって、そこは描くうえでの面白さを感じるところです。力士を描き続けていてもマンネリにならず次に繋がるというか、常に新しい展開を自分のなかで生み出せているというのも、相撲文化の奥深さなのだと実感しています。