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とても大事

山田博之Hiroyuki Yamada

作品概要

制作年
2021年
素材
和紙プリントのコラージュ、油性ボールペン
サイズ
210mm(幅)×297mm(高さ)
販売価格¥33,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

企業広告やパッケージ、書籍の装画までさまざまなイラストレーションを手がける山田博之さんがこれやん初登場です! 2011年から毎日1枚の画を描き続けているという山田さん、そのモチーフから生まれたのがこちらの作品です。ドローイングの作品を和紙にプリントして貼り付け、加筆をしながら作られていくのは、ジャンルレスな要素が重なり合った不思議な世界。この作品は植物・鉱物がテーマになっています。山田さんが描いたものだけで構成されているため、独特な統一感がありますね。
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STORY

倉本:山田さんはイラストレーターとして長年ご活躍ですが、この職業を志すようになったのはいつでしたか?

山田:小学校の頃です。幼いときから見たものをそっくりに描くのが得意で、まわりからも画家になったほうがいいと言われていたのですが、僕にとっては画家よりもポスターのような商業的なところで使われる画を描きたいと思っていました。でも、それがどういう仕事なのかまだ分からずにいて、たまたまテレビを見たらイラストレーターの黒田征太郎さんが出ていらっしゃって、作品や広告の仕事を話をしていて。”やりたかったのはこれだ!”と思ったんです。ちょうど小学校1年生のときでした。

倉本:生まれ持った才能をお持ちだったのですね。その後はどうなっていったんですか?

山田:高校を卒業したら専門学校に行って、イラストレーターになろうと思っていました。でも、大学は出たほうがいいというアドバイスもあり、いろんな美大の卒展を見て、当時イラストレーションで流行していたエアブラシが一番上手いと思った、嵯峨美術大学の短期に行きました。在学中はエアブラシを学びましたが、ちょうど1980年代になると“ヘタうま”と呼ばれるトレンドが出てきて、リアルに描くなんてダサいという流れが生まれ、これはどうしたものかなと。

倉本:日本のイラスレーションが大きく変化した1970年代から80年代という時代の波のなかに、山田さんはいらっしゃったんですね。

山田:当時パルコが企画していた「日本グラフィック展」にはものすごい数の応募者があり、そこからいろんなイラストレーターが飛躍していくのを見て、僕もコンペに出さないとと思い、そこから勝つための傾向と対策を練って画を描くようになりました。

倉本:その試行錯誤があってか、山田さんの作品を見ているとスタイルに応じてまったく画風が違うという印象がありますね。

山田:まさにそこが僕の言いたいことでもあります。僕も多くのイラストレーターと同じようにずっと悩みながら描いていました。移り変わるトレンドに合わせて自分のスタイルを発見しては2~3年で破綻するループを繰り返して…………それを脱却できたのが、S&Bのスパイス&ハーブのお仕事でした。このパッケージで描いたボタニカル・アートは個人的には好きでしたが、“ただ上手に描くだけでかっこ悪い”と思って、これまで表には出していませんでした。でも、この仕事のおかげで自分ではつまらないと思っていたものが評価されたことで、結局は自分というパーソナリティのままに、普通に描いたらいいんだということに気がついたんです。そこからは一気に仕事も増えていきました。

倉本:なるほど、巡り巡った結果として、幼い頃から持っていた才能を再発見したという。キャリアの長い山田さんらしいエピソードですね。

山田:イラストレーターという職業は他人の評価を気にしてしまうものなんです。もっと多くの人に受け入れてもらいたいがために否定的な意見を意識して、自分のスタイルとずれた方向にいくと破綻してしまう。結局、自分はこうしか描けないことに素直になって、好きなものを描いてそれを評価してくれる人と仕事をしていけば良いと思います。パーソナリティがあればスタイルなんて洋服と同じようなもので、一見破綻しているように見えても、俯瞰で見ればその人らしさが出ているわけですから。