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家電図 鶴の恩返ミシン

鈴木ひょっとこHyottoko Suzuki

作品概要

制作年
2019年
使用素材
コットンキャンバス、アクリルガッシュ
サイズ
455mm(幅)×333mm(高さ)×21mm(奥行き)  ※P8号

これやんの作品コメント

現代という時代を象徴する家電と日本の昔話をユーモアたっぷりな視点で表現している鈴木さん。その代表的な“家電図”シリーズより、鶴の恩返しを現代風にアップデートしたのがこちらの作品です。鶴のかあちゃんが子供のために夜なべして編んでいるのは、手袋ではなくてダウンジャケット! ただ面白いだけでなく、深みのあるパロディになっていて、考えさせられる部分もあるという。ひょっとこさんの素晴らしい発想力が生みだしたアート作品です。
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STORY

倉本:ひょっとこさんの作品をSICFで見たときに、分かりやすくて、すぐに好きになった印象があります。ところで何で“ひょっとこ”という名前なんですか?

鈴木:ひょっとこって竃の神様でして、そういう意味合いとタタラ場でフーフーと火を吹いていた、ちょい役の下働きっていういろんな説があって。その親しみやすい庶民派な感じと、神々しさを合わせ持った作品を作りたかったのがきっかけで、2011年の初の個展のときから、この名前を使っています。

倉本:僕が心を掴まれたのが、今の家電と昔話が浮世絵っぽい絵柄で表現されている“家電図”の作風でした。昔話のキャラクターがタイムマシンに乗ってきて、えらい目におうてるみたいな(笑)。このコンセプトはどんな風にして生まれたのですか?

鈴木:もともと美大の油絵に入学したのですが、絵にもっと時間性やストーリーを持たせたくて、アニメーションをやりたくなって映像学科に進みました。そのなかでストーリー性のある絵画表現をたどっていったら、絵巻表現に行きついたんです。日本って対外的には浮世絵、歌舞伎、舞妓さんといったものを打ち出すわりには、自分たちは洋服を着て、機械を使って、マンションとかに暮している……日本らしさとかけ離れた生活っていうものがあって。でも、その両方ともが日本らしいというか。それが合わさっているのがすごく面白いし、不思議やなっていうところを作品にできないかなと思ったのがきっかけです。絵のなかに物語もあり、モチーフとしてはその時代を象徴するという。

倉本:なるほど、アニメーションを専攻していたから、こういうコンセプチュアルな感じもあるんや。

鈴木:いつもストーリーや動きが場面として浮かんでくるんです。閃いたらそれが絵になっていくという感じですね。

倉本:一時は宮崎に移住して、祭りの文化を学んだりしていたんですよね。

鈴木:そうですね。オカメの白雪姫をモチーフにした「りんご美人」の映像作品を作ったことがきっかけで、もっと日本の祭りやおたふくが何なのかを知ったうえで作品を作ろうと思って宮崎に行きました。神楽ってお祭りがあるのですが、地域の人が土地の神様に奉納するためのお面をつけて、夜を通して舞うというものがあって。カッコイイ舞いから、ちょっとおどけてコントみたいなことをやるものもあって、そういうことを真剣にするということに、表現の原点があるんだなって思いました。あと、もともと“お面”に興味があったのも、私の“ひょっとこ”の名前に由来になっています。お面って怖いようでユーモラスでいて、それでいて美しいっていう、いろんな要素を含んでいて。そうやって、見た瞬間にいろんなことを感じさせるのはすごく面白いし、私もそういう作品を作りたいと思っています。