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板Phone、板Pad

田中偉一郎Iichiro Tanaka

作品概要

制作年
2014年
使用素材
サイズ
77.4mm(幅)×157.5mm(高さ)×7.7mm(厚さ)/板phone
169.5mm(幅)×240mm(高さ)×7.5mm(厚さ)/板Pad
販売価格¥121,000(税込み)

これやんの作品コメント

NHKのEテレ「シャキーン!」の“ストリートデストロイヤー”でも知られるアート界の有名人、田中偉一郎さん。「板Phone」と「板Pad」は某メーカーのスマートフォンとサイズ厚みともにまったく一緒にしたタダの板……と思いきや、触ってみるとこのサイズ感を手が覚えていて、一瞬スマートフォンと錯覚する“普通の板じゃない”という感覚と、スマホのように操作したくなる高揚感が湧いてビックリしました。田中さんはこれを人が使っている様を単純に見たいようですが、触ってみれば分かる希少価値感、自分が触ったら他の人にも触ってほしくなるという意味では、ある種のコミュニケーションツールと言えます。田中さんならではの切り口で作られたアート作品です。
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STORY

倉本:田中さんは僕と同じように、笑いとアートの中間の感覚とすごく近い作品があるな、と思っていました。それで田中偉一郎という名前を覚えて……というか“偉一郎”という名前自体がおもしろいなと思っていて。これって芸名ですか?

田中:いや、本名です。おじいちゃんに付けてもらいました。

倉本:そうなんや! 作風とも近いというか、やっぱり名は体を表すということを再認識しました。ところで、アーティストになった経緯はどんなものでしたか?

田中:これをやると人はウケるなって思うのって、幼い頃に誰にでもあるものですが、僕の場合はそれが顕著に多いタイプでした。例えば小学校の頃に壊れたキーホルダーの鎖だけを学校の机にくっつけて、“机のキーホルダー”って言うとウケる、みたいな。つまり、その場でのやりくりがその時の場を作り出すのが面白いと思っていて。それがきっかけでアーティストになったというよりは、そういう“ウケる”っていう状態が日常にないのが嫌で、それだけは捨てたくない気持ちがありました。で、そんなことを続けるうちに“これは金にならんな”と思っていたら、現代美術を知って、昔からこういうことをやっている人がいて、小さいながらにもマーケットがあることも分かって、救ってもらった感じがしました。そんなみんなに“ウケる”ようなこと。それをずっと続けていたらこうなりました(笑)。

倉本:“机のキーホルダー”のように概念をシンプルなまま、すっと変えるとみんな驚いたりしますよね。

田中:ええ、みんな何かを盛り込もうとするのですが、盛り込まない方が器そのものがあらわになりますし、突っ込みやすいものになりますね。だから、アイディアがひとつできたら、それだけをカタチにしています。あと、閃いたものを作品にするスピード感は重要視していますね。実はみんな、話していることは面白かったりするけど、それを実際にやるってことはしないんですよね。だから次の日にやってみたら、めちゃくちゃ面白いのになっていつも思います。だから面白いなって思ったことは、とにかくやってみています。

倉本:アイディアが枯渇したりすることはないんですか?

田中:はい、“そんなことないだろう”って言われたりもしますが、尽きることはないです。

倉本:子供の頃から癖がついてるんでしょうね。むしろそれが日常というか。

田中:そうですね。だから新しい人に会うと“ブワッ!”と出てきます(笑)。ですので人に会ったり物を見るのが好きですが、逆に何にも無いのも好きで、何にもない場所とか何にも無いと感じる時間があると、そもそも世の中はつまらなくて娯楽も少ないなから“自分で作らないと!って思えるんです。ですから、何にもない状態も日頃から意識するように心がけています。