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oboro – 23.07:09 –

松村淳Jun Matsumura

作品概要

制作年
2020年
素材
ガラス
サイズ
100mm(幅)×180mm(高さ)×12mm(奥行き)/イメージ
150mm(幅)×185mm(高さ)×65(奥行き)/台込み
販売価格¥49,500(税込み)

これやんの作品コメント

美しい風景を積層のガラスで表現するアーティスト、松村淳さん。一枚絵のように見せるこちらの作品は、おぼろ月がテーマでいろんな月の満ち欠けを表現したシリーズのなかの一作品です。この作品は朝方の月の景色を描いていて、松村さんがデンマークに旅行にいった時に見た、雲が降りてきたように霧がかった風景を表現しています。
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STORY

倉本:ガラスを用いた作品を制作するに至った経緯を教えてください。

松村:もともと絵を描くことや図工の授業が好きで、手を動かして何か作る仕事がしたいと、ぼんやり思っていました。高校のときに工芸の授業で、素材を理解しながら自分の手で作り上げる体験をして、工芸に魅力を感じました。 そのときは陶芸や染色をやりましたが、ガラスを選んだのは……テレビで吹きガラスの映像を見て“やってみたい”と思ったのもひとつのきっかけだったと思います。大学ではガラス制作の技法を一通り体験しました。それで、すぐに判断力が求められ、チームワークが必要な吹きガラスは自分に合わないことがわかりました。わたしは見られると恥ずかしくなるので(笑)、ひとりでやりたいというか。人の真似にならないような“ニッチな方向”で、何か違うことやりたいと思いました。ガラスを削ったり磨いたりするのがいちばん好きな作業だったので、そこに自分の方向性を探していきました。

倉本:大学卒業後は工房で働きながら、創作されていた時期もあったのですね。

松村:4年間ほど青森のガラス工房で働いてました。先ほど言った、磨く・削るという手法だけだと、何かが足りていない気がしていたんです。なので、もう少しいろんな技法を勉強してみたいというのと、“ガラスの仕事で働く”というのをやってみたかったんです。

倉本:今の松村さんの制作の手法はとても独特だと思います。どうやって身につけていったのですか。

松村:大学で板ガラスを接着して造形する授業があり、色を色鉛筆で付けました。その色鉛筆で描いたガラスを積層して組み合わせるいうことを自分なりにやってみたんです。ゆっくりと時間をかけながら、自分が思ったように改良をしていきました。

倉本:薄い板ガラスに一枚一枚描いて、重ねていくのですか。

松村:はい。例えば1辺が7センチの立方体なら、5ミリの厚さのガラスを14枚重ねています。後で削ることを考えて、7センチより少し大きめの正方形に切って、色を付けたいところだけ一枚一枚のガラスの表面をザラザラに加工します。そこに色鉛筆で色をつけ、接着して最後に平らになるように切り直します。絵柄は一枚一枚少しずつ違っています。複数の着彩したガラスが重なったときに、どんな色に見えるかということも意識して作っています。

倉本:風景が多いですが、モチーフはどこからくるのですか?

松村:具体的な場合もあれば、自分の記憶をたどっていく場合もあります。作品を作りたいなって思う瞬間って、“あ、今日は夕日がきれいだな”というような、日常の何気ないところから得られることが多いです。クリアなガラスに描く表現もしますが、磨りガラスのもやっとした不思議な遠近感も好きですね。風景は時間によっても変化するので、作品によっては奥が過去で手前が現在という感じに、時間の経過が感じられるようにすることもありますね。