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Layered series 4

鈴木香南Kana Suzuki

作品概要

制作年
2021年
素材
ガラス
サイズ
80mm(幅)×165mm(高さ)×80mm(奥行き)
販売価格¥16,500(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

ガラスとは思えない摩訶不思議な立体物を制作するアーティスト、鈴木香南さん。今回お持ちいただいたのは吹きガラスで制作された作品で、これやんの企画展「いんすぴ展 Vol1」にて彼女自身が制作した作品から着想を得て生まれた新シリーズです。穴を空けた色のガラスシートを巻き付け、レイヤー状に重ねることで、色の重なりや奥行きを感じられます。こちらは黒のガラスと白を組み合わせることでまるで宙に浮いているようにも見える不思議な作品。空間表現をテーマとしたアートとして部屋に飾ってもよいですし、花瓶やグラスなどの実用品にもなります。購入者のライフスタイルに合わせて楽しんでいただける一品です。
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STORY

倉本:お父さんもガラス工芸をやられているんですよね?

鈴木:はい、父親からは影響を受けています。でも、最初はガラスをやろうとは思っていなくて、絵を描いたりしていました。でも、漠然と何かを作りたいと思ってはいて、そのなかで自分にとって近しいものがガラスだったので、ガラスの専門学校に通うようになったのですが、まわりにはガラスが大好き!って思っている子が多くて。でも、私はただ漠然と物作りがしたい気持ちだったので、熱量が違いすぎて……。

倉本:みんなと違って、鈴木さんは何となくって感じだったんですね(笑)。いわゆるガラスが大好きな作家さんに見られるような、素材の透明感や滑らかな質感といった作風とはまったく違いますし。

鈴木:住んでいた場所が田舎だったので、ネコやカマキリみたいに身近にいた動物をガラスで作っていたのですが、動きもつまらなくてピンとこなかったです。その頃、溶けたガラスがドロッと型から流れてしまったことがあって、それを学校の人たちに見せたら“これ面白いね!”と言ってもらえて。それで、自分では失敗だと思っていたけど、動きもあるし、生き物にも見えることに気づけました。キルンという技法を使っていて、粘土で型を作って、石膏で型取って、ガラスを入れ、窯で焼き付けています。

倉本:この作品は大きな重量感がありますが、学校の卒業展示で優秀賞を取った作品とのことですね。

鈴木:これは実験段階のときに面白いと思ったテクスチャーがあって、それを大きい形にして作ったものですね。抽象的な形をスケッチして、それと一緒に先程のテクスチャーを粘土で作っている段階でつけていました。前に赤い色を使ったことがあったのですが、赤だけだとグロテスクになると覆ったので、もう少し柔らかい色や明るめの色を入れました。

倉本:溶けた状態のガラスは動きますから、それが生き物の血液が動くのと似ているというか。

鈴木:本当に血液みたいに見えたりすることもありますね。

倉本:鈴木さんの作品は躍動感という言葉を、視覚的に表現しているのだと分かりました。

鈴木:そうですね。やっぱり自分の想像だけではなく、ガラスが出してくれるものを取り入れようと思っています。私にとってはガラスの特性や魅力をちゃんと出せているかどうかが大事で。ただ、型の中に入って縮こまっていたら死んでいるのと同じだから、ちゃんと出てきてもいいんだよっていう。そういう意味でも、最初に目指していた“生き物感”が、今でも頭のなかにありますね。

倉本:だから鈴木さんの作品は、躍動する生命体なのですね!