春待ちガール 靴下脱いじゃう(イエロー)
作品概要
- 制作年
- 2019年
- 使用素材
- アクリル絵具 、コピック
- サイズ
- 300mm(幅) × 300mm(高さ)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:はっとりさんの絵はちょっと懐かしいというか、僕は女の兄姉がいなかったから憧れがあっても近寄れなかった少女漫画みたいな、そんな昭和っぽい匂いもします。でも、かんなさんのような今の年代の人が描いているという感触、今っぽいキャラクターのファッション、レトロ・リバイバルな要素も全部含めて、好きやなぁって感じです。どういう感覚でこういった作風へ至ったんですか?
はっとり:最初からレトロを意識していたわけではなく、自分の中では新しい作品だと思って描いていました(笑)。でも、まわりの方からレトロとか、懐かしいとか、少女漫画みたいだねって言われるようになって。「りぼん」とか「なかよし」から影響を受けていた私にとって、それは褒め言葉でもありました。そう言ってもらえることで、自ずとそっちに寄っていったというか(笑)。今はレトロ感も意識しながら描くようになりました。それに私は昭和の人間なので、どうしても滲み出てしまうとは思うんですけど。
倉本:でも、10代の方にも人気があったりするし、そういう人にとっては懐かしいというよりも新しい感覚なんでしょうね。イラストのオリジナリティという部分に関しては、どんな風にしてできあがってきたのですか?
はっとり:私、10年くらい絵を描いていない時期があって、30歳を過ぎた頃から再び描きはじめたんです。この何年かでいろいろと思い出しながら、今の絵柄になってきました。チークと唇に特徴があるのは、私が描く女の子のトレードマークになっていますね。それこそ昔の少女漫画とかを見ていると、指先とか膝、耳たぶとかって、ほんのりピンクなんですよ。その女の子っぽい感じがすごく好きで。
倉本:例えばこういう可愛いらしいイラストは、昭和の頃だと中原淳一さんとか内藤ルネさんとがいて。はっとりさんはあの時代をスタイルを受け継ぎながら、今の時代に橋渡しをしているんやなと。
はっとり:昨年、縁があって内藤ルネさんの展覧会と同時に開催された「kawaii クリエイターズコレクション」に今の世代のクリエーターの方と一緒に参加させてもらったのですが、改めてルネさんの展示を見させてもらって“これは私がやりたいことやなぁ”って(笑)。美少女と一緒に小さいキャラクターが出てくるんですが、それがまた可愛くて。
倉本:なるほど。でも、昭和の時代の方とはタッチも全然違う。あと、時代がおかしくなるような良い意味の違和感があって。だから、はっとりさんの絵って、あるようで他にはないものなんですよね。
はっとり:タッチはそこまで意識したことはないのですが、柄はレトロなものが可愛いとか、あと髪形は80年代の(松田)聖子ちゃんとか、(中森)明菜ちゃんに影響されています。90年代だったら初頭のCMとか映画、あとは岡崎京子さんの漫画とか。時代ごとに好きなものがあって、そこにちょっとだけエッチな感じも出したくて、いやらしすぎない「まいっちんぐマチコ先生」みたいな。つまりは“こういう感じになりたい”っていう私の理想を詰め込んで、できあがっているんですよね。