「おまちどうさま」は、ずっと願っていたこと、待ち遠しくしていたことに対して「はい、おまちどうさま」ってなったときの、喜びとか不安とか戸惑いとか、いろんなものが混じった感じ。 そういう悲喜こもごもの感情が含まれるというのかな。幕の開く瞬間、幕が開けきるちょっと手前みたいな感じですね。
ガラスの中に何か造形物が見えるというのは僕のスタイルのひとつで、バイオリンのような楽器が海に沈んでいるように見えると思います。みんなが待ちに待ったコンサートの幕開けみたいな瞬間なんだけど、そのバイオリンがスッキリ見えてなくて混沌とした中に、楽器らしきものが見える感じになっていて、戸惑いとか期待とかいったものが混在している。
去年一年、みなさん不安を感じ、いろいろ考えたと思います。僕自身、正直幕開けは来ていないと思うんですけど、そういう幕開けまでの微妙なタイミングを表現できたらなあと。一見すると「なんじゃこれ？」みたいな作品ですが、じっくり見れば、液体性を孕んだ固体であるガラスの混沌とした表情が見えると思います。ゆっくり作品を見て、何か自分なりのストーリーを思い描いてもらえたら嬉しいです。