みんなになったあなたへの手紙
作品概要
- 制作年
- 2018年
- 素材
- 水彩絵の具、色鉛筆、紙
- サイズ
- 250mm(幅)×320mm(高さ)×20mm(奥行き)/額装サイズ
- 特筆事項
- 販売金額には額装代も含まれています
これやんの作品コメント
STORY
倉本:宮川さんの作風やコンセプトについて教えてもらえますか?
宮川:命をテーマに制作をしています。人間のように会話や社会の秩序を持たない、純粋な生命を表現したいと思い、四つ足の生物をモチーフに彫刻や平面で表現しています。
倉本:命に興味をもったきっかけは何でしたか?
宮川:私の叔父が僧侶で、お寺でお経をあげたり、お墓参りをするということが身近にある環境だったので、死は当たり前のようにやってくると思っていました。それがきっかけですね。
倉本:画はいつ頃から描いていたのですか?
宮川:幼い頃からです。画は言葉を使わずに自分の考えを発信できるのが良いなと思っていました。動物が好きで描いたのですが、その理由はただ“可愛い”とか“カッコイイ”からというものでした。でも、大人になるにつれて、“私はなぜ動物が好きなんだろう”と考えるようになったら、生命の欲求というものに自分が興味を持っていることが分かってきました。
倉本:宮川さんの作品には動物と人間など、ふたつのイメージが重なっているのが印象的です。
宮川:例えば日々の生活のなかで“昨日はあんなことがあったな”みたいに、いろんな記憶を思い出したりする。それを目で見えるようにしたら素敵だなと思っているので、作品の表現としてダブルイメージや顔が二つあったりします。もうひとりの自分はどんな気持ちなのかということを可視化するうちに、こういうモチーフになりました。
倉本:では、作品はイメージ先行で作っていくのですか?
宮川:いえ、私は詩を書いたりもするので、タイトルを先に決めて、その言葉をどうカタチにしようかなと考えながら作っていきます。言葉を図に変換していくような気持ちでゆっくりと描いていきます。
倉本:言葉という確固たる世界があって、それを視覚として表現しているんですね。宮川さんの作品は、命というテーマであるからか熱量を感じます。
宮川:美術に限らず、作品を通してメッセージを伝えるアーティストって、強くて発信力がある人が世界を制するイメージだと思うんです。でも、そのなかには小さくて弱い人もいて、そういう人が強くないのかといったらそうでもなかったりもします。そんな人を見過ごさない力が一番強いのではないかと思っています。なので私はそういう、小さくて弱い命を発信していくために制作をしています。