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谷敷謙

作品概要

制作年
2020年
使用素材
スタイロフォーム 、古着、抜染
サイズ
455mm(幅)×333mm(高さ)×59mm(奥行き)
販売価格¥220,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

SICF21にてオーディエンス賞を受賞した谷敷謙さん。日本古来の木目込みの技法と古着を用いて、コンセプチュアルな作品を生み出す谷敷さんですが、こちらはこれまでの表現とは異なった新しい作品です。英国の一族の紋章でもあるタータンチェックにブリーチをかけたこの作品は、染色前の行為であるブリーチに、人がいろんなことを受け入れながら生きていくというメッセージ性が込められています。
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STORY

倉本:木目込みという技法に至ったのはどんな経緯でしたか?

谷敷:小学校の頃、母親が持っていた木目込みキットをやってみたら、すごく面白かったことを覚えています。でも、まだ幼かったこともあり、そのことは忘れてしまっていて、大学でテキスタイルを専攻したときに思い出しました。学校ではカーペットのような織物を作っていましたが、僕は三宅一生さんの糸から作っていく洋服が好きだったので、その頃は糸から生地を作り、それを木目込みにして完成させていました。

倉本:今、谷敷さんが木目込みの素材で用いているのは古着ですが、その理由は何ですか?

谷敷:長女が大きな心臓手術を受ける機会があって、僕と妻は彼女の手術の結果がどちらであろうと、受け入れる準備をしなければいけなくなったんです。手術は成功したのですが、それでも最初は成功したという実感が持てず、確実に娘が存在していることを残したいと思い、無意識に長女がこれまでに着ていた衣服を使って作品を作ったんです。出来あがった作品をみると、娘が生きてきた証のようなもので、そこには親である僕達が彼女のイメージをもとに買った洋服が集積されていました。その作品と彼女を見ることによって、彼女のこの先の未来も想像できるようになり、そこから古着という素材の面白さに惹かれるようになりました。

倉本:人の存在証明のための古着なんですね。

谷敷:はい、衣服は人が生きていくために必要なもので、成長とともに着なくなったりもします。古着は着ていた人にとって思い出もあり、その意味でも特別な存在なんです。古着を使って作品を作っていると匂いに敏感になってきて、例えば赤ちゃん着だったらミルクの匂いがしますし、スーツの生地にタバコの匂いが残っていたりすると“(着ていた人が)ストレスを感じていたのかな”なんて、こちらで勝手にイメージが膨らんだりもします。僕は自分の作品を上からガラスなどで覆ったりしないのですが、それは剥き出しにすることで古着の匂いも感じてもらえたらと思っています。

倉本:顔のフォルムやタッチが独特で、目がないのも印象的です。

谷敷:目はすごく強い印象があるのと、僕が見せたいのは衣服の思い出や記憶なので、目は要りません。その変わりに、鼻頭で人間の可愛らしさが表現できますし、それと口があれば人の顔って認識できますから。

倉本:確かに生地の素材感が生かされていますね。古着を使う意味に加えて、確固としたテーマ性を持った作品だと感じます。

谷敷:作品に人間がたくさんいるのは、僕自身が寂しがり屋で多くの人に囲まれ、助けられながら暮らしてきていて、これからもそうやって生きていきたいと思っているからだと思います。また、僕は洋服も大好きなので、アート作品として衣服が持つ“強い精神性”のようなものを残せるような作品を作りたいと思っています。

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