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Stuffed animals-girl and mouse

村山まりあMaria Murayama

作品概要

制作年
2023年
素材
陶土、金属(蠅部分)
サイズ
135mm(幅)×140mm(高さ)×160mm(奥行き)
販売価格¥55,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

身の回りにあるものと陶芸を用いて印象的な作品を制作するアーティスト、村山まりあさんが初登場です。この作品は生と死をテーマにしていて、林檎とネズミの剥製を対比させています。林檎は生きているものの証としてハエが止まっているのが特徴です。少し不思議な構図と、赤と金色の色彩感もこの作品の特徴と言えるでしょう。
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STORY

倉本:村山さんは陶器を用いた彫刻作品を制作していますが、そういったジャンルのものに興味をもったきっかけは何でしたか?

村山: 子供の頃からリヤドロ人形とかマイセンの磁器のようなキラキラしたものが大好きでした。クリスマスにリヤドロの妖精のフィギュアをねだって買ってもらったことがあるのですが、ある日にそれが割れてしまい、中が空洞だったことにびっくりしました。そのときに初めて焼き物に興味を持ち、近所の陶芸教室に妹と一緒に通わせてもらいました。美大に進むきっかけになったのは、 キリスト教徒だった祖母のお墓のブロンズ像を作った、男性彫刻家のサール・シュワルツさんの奥様である熊坂兌子さんにお会いしたのがきっかけでした。同じく彫刻家として活躍される奥様の工房に遊びに行き、その際に作品が完成していく様子を見て、自分も何か作ってみたいと、はじめて感じました。

倉本:それで彫刻の道に入ったわけですね。陶芸という素材のどこに魅力を感じましたか?

村山:焼き物は窯に入れてしまうと、その前の段階には絶対に戻れません。そのどんどんと先に進んでいく感じが……すごく楽しいと感じました。何回も失敗して落ち込んだりもしますが、 釉薬が思い通りにいかないことと、自分のやりたいことのバランスがうまくいったときの感動がいちばん大きかったのが焼き物でした。

倉本:村山さんは焼き物に転写紙を使っていますが、その制作方法はどのようにして生まれたのですか?

村山:私は身のまわりにある生活感があるものに興味があり、以前に既製品のポットとカップを窯の高温で溶かして一緒に組み合わせた作品を作っていました。 転写紙も考え方は同じというか、壁紙やインテリアに使われるものなので、あえて作品に使うことにしました。転写紙はタトゥーシールと同じ要領で貼り、800度くらいで焼き付けていきます。これは焼き物の制作で一般的に使われている技法です。

倉本:身近なものというのがポイントなのですね。

村山:今までに剥製の動物をモチーフの作品を数多く制作しましたが、剥製も海外ではおうちに飾られていてインテリアの一部のような身近なものだからです。死体がインテリアの一部として生活の中にあるって、すごく面白いなと。なので、私の作品はカップのように生活に密着しているものと、剥製を組み合わせる作品が多かったりします。

倉本:剥製をモデルに彫刻を作ることで、表現したいことは何ですか?

村山:友人宅で剥製を初めて見たとき、死んでいるものなのに“かわいそう”という感情が全然起きないことに不思議な違和感を感じました。人間の感情って状況が少し変わるだけころっと変わってしまう、そのことのおかしさというか。そんな感覚を見ている人にも感じてもらえたらと思います。わたしの作品は、生きているものと死んでいるものが組み合わさっています。今までは作品に矢が刺さっていたり、血を吐いていたりすることで、死んだ状態を表わしていましたが、最近では“生きているもの”にハエを使うことにしています。ハエは生きているものにしか、たからないですから。人間の頭部が空洞で剥製として描かれている作品は、生きているネズミにハエが止まっています。人間とネズミは遺伝子がほぼ一緒なのですが、私が剥製に対してかわいそうという感情を覚えなかったのと同じように、ネズミは人間の剥製を見てもかわいそうと思っていないでしょう。そうやって剥製の人間と生きているネズミによって、生と死を対比して表現しています。