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赤の森

小林真理江Marie Kobayashi

作品概要

制作年
2019年
使用素材
紙、アクリル
サイズ
324mm(幅)×445mm(高さ)/イメージ
440mm(幅)×565mm(高さ)/額装サイズ

倉本美津留のこれやんコメント

一見してそれと分かる独特でカラフルな色彩感を持った画風で「三菱商事アートゲートプログラム」に幾度も入選経験を持つ小林さん。2019年に銀座三越で開催した個展「巡り」で展示された作品をお持ちいただきました。紅葉した秋の森にて循環する生命の象徴として描かれた金色のウサギからは、存在しない何かを描こうとするエネルギーが溢れています。
SOLD OUT

STORY

倉本:小林さんは絵画だけでなくモザイクの制作もやっていますよね。

小林:はい。大学ではずっと油絵をやっていたのですが、森のなかや公園など屋外に置ける作品を作りたくて、絵ではなくて自分に合うものを探したんです。ちょうどその頃にイタリアへ行って“モザイクだ!”と閃きました。イタリアのモザイクはちょっと特殊で素材がガラスなんです。私がもともと作りたかったカラフルなものとイタリアのガラスの色彩が合っていたので、絵とモザイクの両方やっています。

倉本:2つのまったく異なる表現方法をやっている作家さんってあまりいないですよね。

小林:本当は絵はあまりにも芽が出なかったので辞めるつもりでした。それでモザイクの方に行こうと思ったら、絵が何だか気楽にできるようになって、そうしたら評価されるようになってチャンスが増えてきました。ですから、両方をやっていることは自分にとっては予想外でした。

倉本:小林さんの画は印象的で、見ていると心が洗われるというか、ホッとします。世界観やモチーフとかはどう決めているのですか?

小林:大体、私の身近なところから端を発していて、例えば今回持ってきた森の絵の「散歩」は、実は一年くらい前に引っ越した場所が森の前だからです。その前に住んでいた場所は海が近かったので、描くものが船や橋ばかりでした。だから私の画はエッセイというか、その時に関心があるものがまずヒントになって、そこから想像を膨らませています。

倉本:色彩感覚が独特ですよね。木と言ってもレインボーになっていたり、そういった感覚はどこから生まれたのですか?

小林:23歳のときに初めて沖縄でダイビングをしたのがきっかけでした。海に潜ったら海中の世界ってすごくカラフルで、水からあがった時に“世の中って茶色い!”と思ったんです。それまで自分は茶色系の絵ばかりを描いていたのですが、それは自分で茶系の色を選んでいたのではなく、何となく見慣れていたからその色を描いていたことに気がつきました。それからは意識的に自分で色彩をコントロールしたいなと思うようになりました。サンゴや熱帯魚を見て、今言ったような意識の変化があってから、自分の好きな色ってどんな感じかなと探求していくうちに、こんな色彩になりました。

倉本:色彩のみならず船の木が合体した「時の旅」であったり、うさぎが描かれた「赤の森」などは、存在しえない世界観にも感じます。

小林:私の絵は、命を肯定するような内容にしたいと思っています。それで「赤の森」もひそかにエネルギーが“ウワン!”って渦巻いている、そんな力強さを秘めた感じにしたくて。秋っぽい感じもありますが、ザワザワとエネルギーがあるような森にしたかったんです。私のなかでは森と生き物が同じというか、森のものを食べて生き物はできていて、その生き物も最終的に森に帰っていくという。この絵ではそれがうさぎになっていますが、私の中では生き物全体の象徴でもあります。