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鷺娘

中西麻莉子Mariko Nakanishi

作品概要

制作年
2023年
素材
雲肌麻紙、岩絵具、水干、墨、金箔、銀箔、金泥、銀泥
サイズ
190mm(幅)×333mm(高さ)※M4
販売価格¥154,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

日本画材を用いて日本女性の美しさを追求するアーティスト、中西麻莉子さんが初登場です。こちらはこれやんのために制作していただいた最新作品で、歌舞伎の演目にもある「鷺娘」を題材にした作品です。恋に悩む乙女心を、白鷺の精になって踊って表現しています。雪景色とリンクした柳雪模様の着物、雪の結晶を描いた帯、美しい髪飾りにも鷺があしらわれています。細かくきまりごとのある舞台衣装を忠実に描きつつも、中西さんらしいしなやかなタッチが、古風な日本女性の美しさを巧みに表現しています。
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STORY

倉本:中西さんは日本画を描かれる以前から日本舞踊をやられていたりと、日本の伝統文化が身近にある環境で育っているのですね。

中西:絵を始める前に日本舞踊が身近にあったことが大きかったです。祖母が町師匠のような形で、自宅にお稽古場を持っていたので、着物を着たお弟子さんがいっぱい出入りしていました。ですので、物心がついた頃には私もお扇子を持って踊っていました。初舞台は5歳で、白塗にカツラをかぶる本格的な日本舞踊でした。そういう環境でしたので、子供の頃から日本舞踊や歌舞伎の大道具・小道具、舞台背景に描かれているものに興味がありました。 日本美術の様式的な略し方というかデザインというか、それがとても特徴的で素敵だなと思ったんですね。 

倉本:美術を志すようになったのはどんな経緯でしたか?

中西:日本舞踊は家族の行事のような感じでした。絵のほうはそれとは関係なく、小さい頃から『美少女戦士セーラームーン』が好きで、女の子を描いていました。その後、小学生の頃に『源氏物語絵巻』を修復するテレビ番組を見て、岩絵の具を使う日本画は、千年先にも残ることを知って感動しました。これは大学に入って勉強しないと、と思い中学3年生から美術の予備校に通って美大に入り、日本画を専攻しました。そうして日本画のなかでも、美人画の巨匠である鏑木清方や上村松園に魅了され、“私もこういう絵が描けるようになりたい!”と、思うようになりました。ことに鏑木清方は歌舞伎を題材にした美人画もよく描いていたので、私にとっては実際に舞台や客席で見る世界だったこともあり、身近に感じました。

倉本:伝統を重んじながらも、中西さんの作品からはどこか新しさを感じます。

中西: 歌舞伎や日本舞踊の演目を題材にしたり、和紙に岩絵具や墨という日本画の技法で描くという……私がやっていることは、あまり先人と変わりませんが、素直に今の自分の気持ちを持って作品と向き合うことで、今を生きる自分の感覚が表われるんじゃないかなと思っています。あえて狙ったりしなくても、自分が生きてきた流れの中で、自然に好きなことをやればいいのかなと。踊りにしても絵にしてもやればやるほどにむずかしくなっていくんです。だからこそ、それと向き合い、追求していきたいと思います。

倉本:幼い頃からの日本舞踊、そして日本画という、ある種の古典に慣れ親しんでいる中西さんならではの感覚が作品に投影されているんですね。

中西:歌舞伎舞踊の演目を題材にしたものは日本髪を結っていますし、着物も舞台の衣装になっています。 日本舞踊の衣装にはたくさんの決まりがあり、年齢や階級で髪型や着物の形、かんざしの数や種類も違ってきます。そうやって制限されたなかでこそ表現できるものがあると思います。その一方で、現代の人が着る和装の姿となりますと、ヘアスタイルもお化粧も違ってくるのですが、私はそのどちらも描きたいんです。 現代的な浴衣や着物をまとった作品では柔らかさを出したくて、日本髪で結い上げているのとは違う、ナチュラルな髪型もご覧いただきたいです。ちなみに私の作品のモデルは、ほとんど母か妹です。ふたりともずっと日本舞踊をやっていて普段から着物を着慣れているおかげで、着物をまとった時に出る身体の線の出方が理想的なんです。