こけしちゃん
作品概要
- 制作年
- 2021年
- 素材
- 円形キャンバス、アクリル、水性画面保護用ニス
- サイズ
- 300mm(幅)×300mm(高さ)×19mm(奥行き)
- 特筆事項
- 作品の額装をしなくてもすぐに飾れるように、キャンバスの背面にヒートンと紐をつけています。
これやんの作品コメント
STORY
これやん:絵を描きはじめたのはいつ頃ですか?
成田:絵は幼い頃から描いていて、小学生の時にユニコーンを描いた絵で賞をいただいたりもしたのですが、周りから“変な絵”だと言われて、一時は描くのを止めました。そうしたら、お母さんが仙台で開催していたジミー大西さんの個展に連れていってくれて、動物や街がカラフルに描かれた大西さんの作品を見て、気分が明るくなりました。それで“こんなに自由でいいんだ”と感銘を受けて、私もまた絵を描くようになりました。
これやん:その後は美術の学校に進学したのですか?
成田:はい。家庭教師の先生が美術を好きな私を見て、勧めてくれた美術科のある高校に進学しました。でも、最初の頃は全然やる気が起きず、作品をほとんど描いていませんでした。美術の先生に“これじゃ単位を取れないよ。まず絵のなかで縦と横のつながりを作らないとダメだね”と言われ、2週間で80号サイズを2枚描きました。家の玄関にあった木彫りの熊と象をモチーフにした作品で、それを先生が公募点に出してくれて、ひとつは「河北美術展」で入選し、もうひとつは「塩竈市美術展」で賞をいただきました。
これやん:動物のフォルムのなかに動物を描くのは成田さんの個性ですが、この表現方法はいつ頃に生まれたのですか?
成田:高校生の頃ですね。私は人付き合いが苦手なので動物ばかりを描いていました。そのうちに人と動物の共存・共栄をテーマにするようになり、動物を人に見立てて描くようになりました。
これやん:その後、アーティストとして活動するようになった経緯は?
成田:大学にはあまり馴染めずに休学しました。家の近所に「中本誠司現代美術館」があり、ここには小学生の頃から通っていたのですが、休学中に館長さんに絵を見てもらったのをきっかけに、この美術館ではじめての個展を催させていただきました。それを機にアーティスト活動をするようになりました。ちょうど2013年の頃です。その後も一度絵が描けなくなったのですが、こけしに絵を描いたのをきっかけに描けるようになり、それからはあ人物も描くようになりました。
これやん:成田さんの作品は動物たちがひしめきあい、支え合っているイメージがあります。作品を通して伝えたいことは何ですか?
成田:支え合っているように描くことで“共存”をイメージしています。今日はこの取材に電車で来ましたが、そのとき車内にいた人たちは一見関係の無いように見えますが、同じ空間にいる意味でつながっています。動物と人間の世界も同じで、お互いが共存しあっているということを伝えたいです。あと、私は発達障害がありますが、アートの世界でも健常者と障害者の隔たりを感じることも多く、以前はあまり口に出して言えませんでした。でも、私は一般のアート展示に参加したり、その一方で福祉事業所でもいろんな活動をしています。私が渡り鳥のように両方を渡り歩いて、白と黒のものがもっとグラデーションになっていけばいいなと思っています。