荒涼に咲く
作品概要
- 制作年
- 2022年
- 素材
- 陶土、釉薬、針金、木
- サイズ
- 60mm(幅)×240mm(高さ)×60mm(奥行き)
- 特筆事項
- 作品には直筆のイラストカードが付属します
これやんの作品コメント
STORY
倉本:小池さんの作品の個性的なフォルムは、いったいどのような経験から生まれたのですか?
小池:子供の頃から絵を描くのが好きで、鳥山明さんの『ドラゴンボール』などが好きで漫画の絵をよく描いていました。でも、それよりも僕が生まれ育った、群馬の田舎の風景や空の色、植物、風の匂いといった原風景のようなものが作品に表われたんだと思います。そういう自然の風景とキャラクター的な生き物が合体したような感じなのだと思っています。
倉本:立体作品を作りはじめた経緯を教えてください。
小池:大学では版画と日本画を専攻し、それから九州の陶芸学校に行きました。そのときは表現や手法のためではなく、単純に絵では食べていけないから陶芸家になろうという理由でした。ところが、九州の陶芸家さんは熱量がすごくて、食べるためにという生半可な気持ちの僕ではとても太刀打ちできなくて。それなら自分の得意な造形物をやったほうがいいなと思いました。
倉本:そのときはどんな造形物をイメージしていたのですか?
小池:特にコンセプトや作戦があったわけではありませんが、僕はピンクや紫色、あとはネオンカラーの絵の具が好きで、そういう強い色の作品が作りたいなと。それと焼き物の勉強も役立たせたかったので、立体物を作ろうと思いました。小さくてカラフルな作品なら手にとってもらえるし、置きやすいかなと。もともと風景画を描いていたので、その風景をぎゅっとまとめたものが、今の作品になったと思っています。それと、時間や季節の経過が制作のイメージになっています。
倉本:作品は足で立っている人のようにも見えますが、風景を擬人化しているということなのでしょうか。
小池:自然のなかで時間が経過し、風景や事象が変化していくのって、人間にはコントロールできないものじゃないですか。それをイメージしたら……なんとなく足があるカタチになっていきました。僕の意思とは関係なく、時間が進んでいくことを細い足で表現しています。細さは不安定さの表現でもあり、世の中は不安定な上に成り立っている事象がけっこうあって、その上に自然物も人間も一緒にいる。だから擬人化した作品になっているんだと思います。
倉本:作品の制作は陶芸作品を作るような感じですか?
小池:釉薬を塗って窯で焼くとボコッと膨らむのですが、その性質を利用して造形しています。陶芸用の釉薬で色をつけることもありますが、基本は釉薬で焼いて成形したものに、アクリル絵の具で着彩しています。あと、僕は詩とか言葉を書き溜めていて、それをもとに形にしています。 あまりはっきりしたイメージで形作るのではなく、雰囲気のようなものを立体化している感じです。