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山本真澄Masumi Yamamoto

作品概要

制作年
2018年
使用素材
岩絵具、水干絵具、麻紙
サイズ
273mm(幅)×220mm(高さ)

倉本美津留のこれやんコメント

子供という普遍的なモチーフを日本画材の美しさを端的に表現した作品で注目を集めている山本さん。今回お持ちいただいたのは、山本さんがもっとも気を遣って描くパーツでもある「瞳」をタイトルにした作品。吸い込まれるような美しさを持った目の描写が印象に残ります。神聖なものや人間の信仰をテーマに表現を続ける山本さんの視点で描かれる子供は美しく、神々しさに溢れています。
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STORY

倉本:山本さんの作品はよく子供を描いていますが、その理由は何ですか?

山本:私には子供って何かすごく不思議な存在で、独特の空気を纏っているように思えるんです。日本で子供は七五三で「七つまでは神の子だ」と言われますし、世界中で子供が神聖視されることが多いですよね、純粋無垢でストレートで、大人とは違うものが見えているのではないかなと。子供の頃に体験した不思議な感覚は大人になった今、具体的に思い出せるものではありませんが、そういったものを表現して絵に残していきたいと思うんです。私は神様と人間の間にいる存在として子供を描いているんですね。この作品も神様が人間界を見渡していて何もかも見透かしている……そういう感じを表現したくて、目の色とふわっと纏っている不思議な空気をリンクさせて描きました。

倉本:確かに子供の目がとても特徴的ですね。

山本:目は特に気をつけて描いていて、あえて黒ではなく緑や違う色にしています。人とはちょっと違う存在として描きたいと思っているからです。

倉本:子供や神聖なものに興味を持たれたのは何がきっかけでしたか?

山本:大学時代を卒業して数年は人物画を描いていなくて、インドネシアの更紗(さらさ)に描かれた神聖な動物を参考にしながら、日本画材で抽象画を描いていました。6年くらい前に絵をもう一度やり直そうと思って、それまで住んでいた京都から地元の岐阜に帰りました。そのとき私の母が子供塾をやっていて、子供と触れ合ううちに彼らの不思議な感覚に気がつき、子供をモチーフにしてみようと思ったのがはじまりでした。ただ、抽象画の頃から神様とか人間の信仰に興味があり、その題材を抽象画から人物に変えただけで、表現したいテーマや中身は変わっていません。

倉本:山本さんは日本画材を使っていますが、色彩がビビッドで目に飛び込んできますね。

山本:日本画の絵の具自体がすごく綺麗なので、なるべく混色せずに発色を生かせるように描いています。あとは世界の民族衣装にも影響を受けていて、それを参考にして色が派手なものをポイントに使うことが多いです。人物を描いても人ではないものを描こうと思っているので、普通のシャツではなくて特別な何かを着せてあげたい。民族衣装はその土地の信仰や歴史があって生まれたものですから、そこからインスピレーションをもらおうと思っています。

倉本:お母さんの塾に来る子供をモデルに?

山本:はい、いろんなお子さんがいらっしゃるので、“あの子がいいな”と思ったら呼んで“ポーズとって”みたいな感じで描き放題でした(笑)。そうは言っても、モデルの子供さんに求めるのはポーズだけで、描きたい表情や雰囲気は自分の中にあります。それをうまく混ぜながら描く感じです。私の作品に登場する子供は笑ったりはしていませんが、作品を観てくださる方が“何考えているのかな、何見てるのかなって”少しでも想像してくれたら嬉しいですね。