チャイルドめがねっこ「つんつん」
作品概要
- 制作年
- 2020年
- 使用素材
- 眼鏡、糸、ワイヤー
- サイズ
- 160mm(幅)×150mm(高さ)×180mm(奥行き)
- 特筆事項
- 台座等の付属品はありません
これやんの作品コメント
STORY
倉本:メガネをモチーフにした作風へ、どのようにして至ったのですか?
岸田:私は織るという行為自体が好きで、学生時代は伝統的なタペストリーを学んでいました。でも、タペストリーの表現は正統派すぎて、徐々に飽きてしまいました。例えば作品は壁面に展示し、ある程度距離を置いて鑑賞するのが一般的ですが、私はその距離感を埋めて、鑑賞者がより身近に感じられるものを作りたいと思うようになりました。それで大学を卒業して最初に作りはじめたのが、自分にとって一番身近なものだったメガネをモチーフにした作品でした。
倉本:確かにメガネは身体に一番近いところに付けるものですね。そもそもタペストリーは平面の作品ですが、それが立体的になったのはどんな経緯でしたか?
岸田:作品を織るときは鑑賞する表側ではなく、裏から糸を織って作業します。その裏側には織面の糸の表情があって、糸が垂れていたりして、その立体感が面白いんです。それを生かした作品を作りたいと思い、今のような作風になっていきました。
倉本:それが徐々にいろんな形態に発展していったのですね。
岸田:最初はメガネの内側だけを織り、糸はそのまま垂らしていたのですが、もっと世界観を広げたいと思ったときに、マスクの形にしてみたりしてみました。本来ならレンズがある目の部分がメインになるので、そこに全体が馴染むように生地の色などを考えてから織ったり、イメージの通りに形をザックリと作っていき、それらを刺繍をしながら組み立てていきます。刺繍することで生地がしっかりとしていくんですよね。もちろん自分がイメージした形にならなかったりもしますが、それが生き物の身体のような自分の思い通りにならない感じが、逆に面白かったもするんですよね。
倉本:試行錯誤しながらも、メガネにこだわって作り続けたと。
岸田:そうですね。以前の私にとって、メガネは身に付けるものという認識でしたが、最近“自分にとってメガネとは何だろう”と考えたところ、私はメガネがないと生きていけない……つまり、すでにメガネが身体が一部のようなもので、メガネありきで自分の身体が成り立っているんだと。その気持ちを作品に投影したくなり、メガネをかけた生き物を作ろうと思って制作をしています。