La mere et enfant du tiger du Bengale(green)
作品概要
- 制作年
- 2010年
- 使用素材
- かきた紙にシルクスクリーン印刷、ラメ、雲母
- サイズ
- 408mm(幅)×512mm(高さ)
- エディション
- 30
- 特筆事項
- 販売枚数は3枚
これやんの作品コメント
STORY
倉本:美美さんが絵を描くようになったきっかけは?
横尾:周囲からは環境的にも、絵を描くことが当たり前のことのように思われがちですが、もともと描くのはあんまり好きじゃなくて、親としては“突然変異”って感じだったようです。幼少の頃、学校で先生が父を引き合いに出していろんなことを言うので、トラウマになったところもあります。写生大会に出かけても途中で帰ってきちゃったりして。大人になってからも絵の世界には行きたくないと思っていました。
倉本:代わりに何をされていたんですか?
横尾:三宅一生さんの事務所でアルバイトをしたり、 久世光彦さんのドラマの世界に入ったり、いろんなことをしていました。そこでデザインを勉強したとかではなく、環境から吸収していたというのかな。いつもいろんな人が出入りしていた父の事務所もそうですが、そこにいることで細胞が自然に吸収したんだと思います。だけど、 相変わらずやりたいことは漠然としていて、“うーん、このままでは”というときに、いちばん近くにあったのが転がっていた絵の具でした。だから、ちょっと描こうかな、と。
倉本:作品は写実的かつ細密で、技量を感じますね。
横尾:私は美術を学んだことがないのでデッサンが出来ませんし、はじめから技法を持っていません。その代わりに“この通りに描かなきゃダメ”というタブーもないので、描けないものは輪郭をトレースして、あとは直接絵の具をのせていくという方法で描いています。それが最初からずっとやっているやり方ですね。緻密に描き込むのは例えば、バレリーナが指の先まで神経を行き渡らせているのと似て、細部まで精神(想い)を刻み込んでいる感覚が緻密さを生んでいるのだと思います。ただ、最近は息を吐くことも大切だということを知って、緩ませることもあります。
倉本:だから個性的なんですね。モチーフはどうやってチョイスしていますか?
横尾:“チョイスする”というよりも、“出会う”という感じです。一枚の写真があって、それを自分の絵にしないと気持ち悪くなるように、写真と“目が合う”んです。自分の作品に見えてくる、絵として見えてくるから描く、という感じです。今回持ってきた作品はペインティングの原画があって、それをもとにシルクスクリーンで作ったものです。今はシルクでいろんなことができるから、ラメの素材を使ったり、いろいろと実験しています。
倉本:作品を見たときにとても特殊な感じがするので、どんなふうに作られているんだろうと、気になりますね。
横尾:何をするにしても、筆で描いているようなタッチを感じさせるようにしたいですね。ビーズをはめ込むにしても、ビーズで絵を描いているように……材料が違うだけで、基本的にはペインティングなんです。