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ねじみみ

篠原奈美子Namiko Shinohara

作品概要

制作年
2012年
使用素材
FRP、ウレタン塗装、透明樹脂
サイズ
300mm(幅)×1200mm(高さ)×300mm(奥行き)
販売価格¥880,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

篠原さんの作品は可愛らしさのなかに、生々しくてグロテスクな部分もあって、いい意味での違和感を感じられます。代表的なモチーフでもあるウサギの作品においても、“どこからどこまでがウサギなのか”に挑戦しているかのような個性的な造形になっていて、ファンタジーとリアルを同居させた作品は、見る人にインパクトをもたらしてくれます。
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STORY

倉本:篠原さんはウサギやハムスターなどを作られていますが、特にウサギは普通のカタチをしていなくて、強烈な印象がありますね。

篠原:ウサギは昔、実家で飼っていたので身近な存在で、私にとっても大切なモチーフになっています。子供の頃に好きだった『ノンタン』という絵本に出てくるウサギさんがピンクなんです。だから、ピンクのウサギがこの世の中にはいるんじゃないかなって思いがあって、それがきっかけでピンク色のウサギを作りはじめました。

倉本:着ぐるみとかもそうやけど、ウサギってピンクで作りがちですよね。それでいて篠原さんのウサギは生々しい感じもあって、リアルなウサギで一歩踏み込んだというか。

篠原:動物を作るときはフィールドワークを取り入れて、最初はリアルな形を作ろうとするんですけど、どうしてもそこにフィクションが入ってしまうんです。私はポケモンが大好きだから、あの世界に登場するカラフルなモンスターの要素が混ざっています。でも、動物らしさも残したい……となると、目や口、お尻の穴とかは外部と内部が繋がるところだから、そこをリアルに出すと生き物らしさも出せる。そうやって両方の特性を残せるような形状に、ロマンを感じるんですよね(笑)。

倉本:なるほど、そうか。そうやってファンタジーとリアルを同居させているから、作品を見たときに“なんなんだこれは?!”っていう風に心を掴まれるんやね。耳が長過ぎるウサギとか。

篠原:あの作品に行き着いたのにも流れがありました。最初はリアルでスタンダードなピンクのウサギを作って、それからウサギのアイデンティティである耳を無くして、それでもウサギだと分かるかどうかという造形にチャレンジして、そのあとで今度は耳をどんどん伸ばしてみることにしました。

倉本:あとは、毛並みの表現も独特ですね。

篠原:私は学生の頃、彫刻科でFRPという固い素材を使うようになり、最初はハ虫類などを作っていたのですが、FRPで毛並みの表現をしたいと思ったときに、よく観察しているウサギでやってみることにしました。表面を掻いて毛を作る手法はみんなやっていたから、それなら私は毛を作ってみようと。一本一本を細く丸めた粘土を毛状にして、それを貼り付けています。

倉本:そんな細かい作業がこの作品を成り立たせているんですね。僕はピンクだったから「いなばのしろうさぎ」のようにも感じて、これは皮が剥がれて筋肉の繊維が出ているのかなと思って見ていました。

篠原:そういう感想も持つ人もけっこういるから、人によってはそうやって見えるのかもしれません。耳の長いウサギは意志を持って(耳を)動かせるんじゃないかって思って作りました。なので、筋肉に見えなくもないですよね。だって、動かせるわけですから。