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19-5

高山夏希Natsuki Takayama

作品概要

制作年
2019年
使用素材
アクリル絵具、キャンバス
サイズ
457mm(幅)×457mm(高さ)

これやんの作品コメント

これが「Camel Rider」と同じモチーフをもとに描かれたとは驚きです。より抽象的な作品ですが、絵の具をどれだけ重ねていくかという表現においては、僕のなかではゴッホと共通するというか、高山さんはその先を行くような印象すら受けます。作品を見ると、彼女の情熱やエネルギーが伝わってきますね。
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STORY

倉本:高山さんの絵を初めて観たときに、大きなサイズの作品にいそうでいないような動物が普通の絵画とは違う手法で描かれていて、不思議なインパクトを受けました。しかも、まだ学生だと聞いて余計にびっくりした驚いた。え、これが学生の作品? もっと大御所の作品かと……そのくらいの完成度が高かったので、最初からそういう人なんだなと。普通の絵画を飛び越えている感じがして。

高山:母がテキスタイルをやっていたので、その記憶が強烈にありました。私自身、絵を描くよりも織物だったり、そういうイメージが強いです。目で見た色って、いろいろな色の影響を受けて見えているので、固有色を作るというよりも、色が絡み合った状態を実体的に起こしたいと思っていて。予備校生の頃からだんだんといろんな色を使いたくなって、油絵からアクリル絵の具になって……注射器で絵の具を重ねていって、さらにカッターや彫刻刀で削っていくという手法に至りました。

倉本:なるほど、織物だ! モチーフはどういう視点で選んでるの?

高山:近代的な生活とはまた違って、支配的な関係にない人と動物が生きている民族や動物の写真から選んでいます。「CAMEL Rider 2019」はラクダと人間が対等に生活を営んでいるモンゴルの民族から選びました。現実の社会で生きていると、いろんな実感が薄れてきてしまっている気がするんです。メディアや産業機械などは“その目で見た実感”をすごく忘れがちになっているような気がして。その辺を自分も含めて、見る人に対してその実感を取り戻したいと言う気持ちもありますね。

倉本:確かに、感動する対象を最初に捉えたときの印象ってリアルとは違ったりするじゃないですか。その印象を生け捕りたいのかなと。高山さんが見た世界観や脳内の風景を、普通は人が見ることはできないけど、それを作品として視覚化しているという。だから夢の映像を見ているような感じというか、懐かしい気もするね。この作品には、今言ったような動物と人間の関係性が直接的には描かれていないけど、作品はどうやってできたものなの?

高山:これは色だけに注視した作品で、実は「CAMEL Rider 2019」の元になった写真を同じくモチーフにしています。制作においてモチーフもコンセプトもあるけど、自分の実感を確かめるような声もあって。自分の目で見た色を何層も塗り重ねて削ったり。こっちの作品とは違う、モチーフの関係ってよりは自分の目で見た実感というか、感触のある作品をずっと前から作りたくて、そこから凹凸感が出てきたりして。

倉本:ちょっと違うかもしれないけど、ゴッホ的な感じを受けるよね。

高山:私、ゴッホのデッサンを見るとゾワゾワするんですよね。その感覚を感じるような体験をそのゾワゾワした感じを、私の作品を見た人にも感じて欲しいなと思っています。コンプレックスとはまた違いますけど、ある意味、絵ってすごく視覚的な要素に縛られてしまうところがあると思っていて。でも、自分の作品からは感触がしたり、実際に動物がいる作品なら、本当に出会った様な感覚になって欲しいと思っています。