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それぞれの時間

仁戸田典子Noriko Nieda

作品概要

制作年
2023年
素材
パネルに綿布、白亜地、油彩
サイズ
227mm(幅)×158mm(高さ)※SM
販売価格¥121,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

ポップな色彩感覚と古典絵画から影響をミックスし、オリジナリティに溢れた作品を生み出すアーティスト、仁戸田典子さんが初登場です。「それぞれの時間」は時間をテーマにした作品です。日本風な柄が描かれた舞台のなかに、さまざまなキャラクターを入り交じっています。日本と西欧が折り混ざった独特のミックス感覚に加えて、写真で見ると大きい絵だと思ってしまうほどに、緻密に描かれたタッチが魅力の作品です。
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STORY

倉本:仁戸田さんが表現している、細密な画風が生まれた経緯を聞かせてください。

仁戸田:絵を描くのが好きだったので、高校生で進路を考えたときに美大に挑戦してみようと思いました。福岡市美術館でダリの作品に触れて衝撃を受け、最初の頃はシュールな感じの作品を描いていました。大学では銅版画の授業で白と黒の緻密な表現をするうちに、今描いているキャラクターのようなモチーフが生まれ、その数がどんどん増えていきました。ダリのあと銅版画を経て、その後でヒエロニムス・ボスの影響を受け、その方向を突き詰めることで今の作品に至っています。

倉本:画材や筆はどんなものを使っていますか?

仁戸田:白亜地という平滑な面に油彩で描いています。いろいろなやり方を試しましたが、この伝統的な手法が私はやりやすいんです。筆は面相筆よりもっと細い筆を使って、少しずつ描いています。油絵の具を使うのは、乾かない間にいろいろと描くことで新しい表情が生まれるし、乾いたあとでも緻密に描ける……そのやりとりが私には合っています。

倉本:作品内に描かれているキャラクターたちは、どのようにして生まれたのですか。

仁戸田:こういうものを描きたいと意識しているのではなく、偶然の産物というか、自然に出てきたものなんです。モチーフが多い作品は、自分の中に溜め込んだものを放出するようなイメージで描いています。下絵を描くこともありますが、直接パネルに向かってスタートし、テーマに合わせて湧き出てくるものを増やしていきます。絵の舞台は考えて構成しますが、モチーフの配置や色味は感覚的な部分が多いです。あとは浮世絵のような日本画、河鍋暁斎や曾我蕭白といった日本の作家にも影響を受けているので、そういう日本的なインスピレーションの影響が、模様や色彩に出ているところもあると思います。

倉本:作品を通じて伝えたいテーマについても教えてください。

仁戸田:私はテーマにしているのは”時の循環”です。昔のものが巡り、受け継がれていく……そういった強い影響力を持つものを、自分も作り出したいという思いがあり、それが私の制作における大きなテーマです。目に見えない空気や息遣いを描き、将来的にもそれを感じられる作品を生み出すことを目標にしています。例えば「それぞれの時間」という作品は、“時間”をテーマにしていて、古き良き作品が時代を超えて私たちに影響を与えるように、受け継がれていく時間というものを描いています。私の絵はこの作品のようにたくさんのキャラクターを使って放出するイメージとは正反対に、キャラクター単体で描くものあります。そちらは自分を見つめ直すような静かな画風です。放出している「動」の時間と、内省的な「静」の時間の抑揚と言いますか、そういったものも作品から感じてもらえたらと思っています。