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渡辺おさむOsamu Watanabe

作品概要

サイズ
高さ17cm×幅12cm×奥行21cm
制作年
2018年
使用素材
FRP、樹脂、モデリングペースト、アクリル絵具

倉本美津留のこれやんコメント

渡辺君がアーティストとして徐々にビッグになっていくのをずっとかたわらで見てきたけど、徐々にこの作品には、彼の裏の姿が浮かびあがっているように感じます。例えば、目から溶け出ているソースらしきものが何なのか、見る人によっていろんな想像ができます。メッセージ性もあって、アーティストとしてより表現的にも進化した作品やね。
SOLD OUT

STORY

倉本:渡辺君は、実家がケーキ屋さんでお母さんがケーキ作りの職人さんなんよね。そういう意味でもご両親のDNAを受け継いでいて、しかもそれを食べるんじゃなく、鑑賞するアートに昇華させているとを知って、僕は“すごいやんか!”って、思ったんです。

渡辺:小さい時から母がケーキを作っていて、その記憶を表現することが一番自分らしい作品になると思って始めました。でも、先にこういうことをやっている人がいなかったので、なかなか認められにくかったですね。そのなかで、倉本さんが最初に僕のことを見つけてくれたんです。

倉本:2007年の京都のアートグランプリやったね。龍安寺の石庭をモチーフにして、石の代わりにでっかいイチゴで、砂利の代わりにクリームがバーって並んでて、“これはポップで最高やな”って思って倉本賞を贈らせてもらった。そもそもアートにルールなんてないし、面白いものを作って驚かせてくれることが一番大事やから。今度の作品を見ると、メッセージ性も感じるし、さらに表現的になってきたように感じたね。甘いものに毒が混じっているような。

渡辺:そうですね。そういうアイロニーな面もこの作品にはあります。例えばバンクシーはもっと直接的ですけど、僕は弁が立つほうじゃないので、そのへんはホワっと表現したいとも思っています。

倉本:そうは言っても、ここまで物議を醸し出す作品ってあんまりなかったやんか? 形状がスカルやし、目からはソースらしきものがドロっと溶け出ている。見ようによってはこのドロっとしたものは何なのか、いろんな想像もできるし、そういう作品を出してくれて、僕は嬉しいね。

渡辺:この作品はまず最初に髑髏の模型があって、そこにクッキーを2枚をくっつけると耳っぽく見えて、印象がガラっと変わるなと……そこからイメージを膨ませました。百貨店とか公立の美術館だと、こういう作品って展示できないんですよね。僕はお菓子のような可愛らしい作品も、こういうアイロニーな作品も同じように、ただ創作したいと感じたものを作っているだけで、特に差はないんです。