DeMOcracy
作品概要
- 制作年
- 2019年
- 使用素材
- アンティーク雑誌
- サイズ
- 210mm(幅)×297mm(高さ)/イメージ
380mm(幅)×540mm(高さ)/額
これやんの作品コメント
STORY
倉本:アート・ディレクターという肩書きがありつつ、コラージュ作品を発表していますが、そうなった経緯について教えてください。
Q-TA:20代の頃はずっとDJをやっていて、音楽によって生まれる空気の流れ、空間性を操るのが興味深くてすごく好きでした。その後、ファッション関係のビジュアルディレクターをやるようになり、DJじゃなくてファッションビジュアルをどう混ぜ合わせたら面白くなるかなって意識的なコラージュをやっていたんです。アーティストとしての活動は、仕事でデザインのラフなどを提案するときに、雑誌を切って貼ったりして……自分としては当たり前にやっていたことですが、それを見たまわりの人が“かわいいじゃん”って言い始めたので、それならアーティストになってみようかなという流れでした。それで、インスタグラムが登場にした頃から、毎日1時間でどういう作品を作って投稿できるかというのをやっていくうちに、日本の方より海外の人が早く反応してくれるようになりました。
倉本:コラージュの素材はどのように入手していますか?
Q-TA:神保町などの古書店ですね。特に1950年~70年初期のファッション誌の印刷の雰囲気って奥行きがあるんです。そういったものともっと古いものを混ぜて、今風の表現をすると面白いなと思っています。でも、こういうパーツでこういうのを作ったらみんな好きじゃない? って感じではなくて、全然違う表現することを意識しています。自分にしかできない本質的なところを伝えられたらいいなと思っています。
倉本:Q-TAさんの作品からはシュルレアリスム的なものを感じます。
Q-TA:シュルレアリスムの考え方や運動の在り方は魅力的だと思っています。コラージュよりも以前のアンドレ・ブルトンの詩などを含めて、そこから派生するものはすごく好きですね。
倉本:出会わないものを出会わせているというか、シュルレアリスムの手法デペイズマン、Q-TAさんの作品はまさにその系譜にあると思います。
Q-TA:僕は常に答えを出すよりも、想像するきっかけを与えていきたいと思っています。100%じゃなくて、70~80%まで寄せたらあとは考えてくれるよねっていう、ぎりぎりのラインで表現するのもひとつのやり方だと思っています。
倉本:なるほど、アート・ディレクターを経て創作活動がはじまったQ-TAさんらしい考え方だと思います。
Q-TA:アート・ディレクターって目の前にあるものをどう表現するかを考える必要があるのですが、そういうときに良いところよりも悪いところを見つけて、そこに何をしたらかわいくなったり、ソフトになるかという考え方をしています。一回目で正解が出なくても、成功しなくてもいいし、ダメならそれを続けながら次は異なる素材を足してみるっていう連続的な考え方ができると、気持ちも楽になると思います。だから僕は作品は手数が少なくてもよくて、2~3手……もっと言えばふたつの要素を組み合わせるだけでも作品になると思っています。例えば100人に“これとこれを組み合わせて作品を作って”と言っても、それぞれが微妙に違うものができると思うし、そこにこそ表現があると思っています。だからこそ、そのわずかな差に気づいて広げていくのが大事なんじゃないかなと。アートも難しくて入り込めないところがあると思いますが、ちょっとしたことに気がつけば全然簡単で楽しいものじゃないですか。そういったことが作品を通して伝わってもらえたら嬉しいですね。