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涅槃群獣図

松本亮平Ryohei Matsumoto

作品概要

制作年
2019年
使用素材
アクリル、板
サイズ
333mm(幅)×242mm(高さ)×19mm(奥行き)

これやんの作品コメント

若手作家にとっての登竜門として名高い「昭和会展」で最高賞の受賞経験を持つ注目の画家、松本さん。寓意と生き物の世界をテーマにダイナミックな作品を描き続ける松本さんの最新作をご紹介します。「涅槃図」のパロディでありながらも、日本画と西洋画のタッチ、平面と立体が交錯した画風は、ポップさとユーモアに溢れていて、松本さんの新境地とも呼べる作品です。
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STORY

倉本:寓意と生き物の世界をテーマにしている松本さんの絵をはじめて見た時に、ダリやヒエロニムス・ボス(ボッシュ)、ピーテル・ブリューゲルといった流れのなかにあるのかなと思いました。

松本:確かに、ボッシュの絵からは大きな影響を受けています。あの幻想的な世界観や描かれている各々が不思議な遊びをしていたり……それでいて現代人が勝手に意図を汲み取っているだけなのかもしれませんが、寓意が込められているという。ただ楽しいだけではなく、そこに込められている毒に面白さを感じていました。

倉本:松本さんと言えば、デフォルメした伊藤若冲の絵をリアルな動物が見て真似する作品も素晴らしいですね。絵画におけるパロディ精神は新しいものを生むきっかけにもなると思うので、大好きです。

松本:ありがとうございます。パロディという話でいくと、今回持参した「涅槃群獣図」は「涅槃図」の下半分というか、鳥獣が群れているところの上に、弟子たちと仏様がいるという構図ですが、鳥獣が集まっているところを本来の線描画表現ではなく、西洋画のようにある程度立体感を出して存在させる形で涅槃図を描きました。上のほうは逆に日本風に描いた“顔出しパネル”と組み合わせています。美術館に行くとここに顔をはめて写真を撮って“SNSにあげて”っていうのがあるので、そういうイメージを書き割りにして、動物たちが顔を出して遊んでいるというパロディ的な作品です。

倉本:日本画と西洋画のタッチが混ざっているというのも斬新ですが、こういった新しい発想はどこからきたのですか?

松本:書き割りのように描こうと思ったのは、平面と立体的なものを合理的な空間で存在させたいという意図がありました。もちろん絵には説明がつかない面白さというのもありますが、私はもともと理系の人間なので、合理性を持たせた空間で描くということにこだわりがあります。ですから、どうなってる状況かということを分かるようにしてお見せしたいと、常に考えています。

倉本:シュールで感覚的な絵のようでありながらも、理にかなっているという視点で描いていらっしゃるんですね。

松本:大学時代にはサイエンス・イラストレーションという形で、DNAやタンパク質の二重らせん構造などの目に見えないものを描いていたのですが、正しく形状を描くよりも、目に見えないものがどう機能するかを表現するために、動きや背景に使われる場所を描いて組み合わせるような表現をしていました。そのときに対象物を正確に描くだけでなく、どういう風に動いて、働き、役に立っているかまでを絵で見せることに面白さを感じていたんですよね。その経験が今の作品にも生かされていると思います。