月虹
作品概要
- 制作年
- 2018年
- 使用素材
- キャンバス、アクリル
- サイズ
- 515mm(幅)×364mm(高さ)
これやんの作品コメント
STORY
倉本:金田さんの絵画は日本画でありながらもタッチはアニメっぽいという、そこが混在していてインパクトがありますね。
金田:私自身、日本の絵画の構図に魅力を感じる一方で、コミックやアニメのある環境で育ち、自然とこういうアニメ的なキャラクターを描き続けていて……自分なりの絵画を表現する時に、日本画の表現とキャラクターを合わせるようになりました。
倉本:昔から女の子の絵は描いていたのですか?
金田:はい、こういうふわっとした感じで描いていました。今、作品にいる女の子は名前があるキャラクターというよりも、大きな自然の中の大きい存在の何かとして描いています。多少の髪型の違いはあっても“集合体としての何か”というのを出したいので、女の子としての個性はあえて出さないようにしています。
倉本:その何かとは、気配みたいなものですか?
金田:はい、目に見えない存在や歴史を気配として具現化した存在です。山や海などの大自然を見ると、人知を超えた大きな存在のような意識を感じるので、それを女の子というやわらかい造形で表現しています。例えば大きい子は山の信仰的な神様だったり、小さい子なら町の人々の記憶や気配といったものだったりします。
倉本:作品と作者が通じているというか、作品に描かれている女の子、金田さんに似ていますよね。
金田:そうですか? それはあまり言われたことがないのですが……特徴がないように描いていたら、だんだん自分と似てきたのかもしれないです。
倉本:自然をテーマにしているのも面白いですよね。
金田:実家が茨城北部の田舎で自然の中で育ったのですが、まだその環境を意識していませんでした。作品を作るようになり、身の回りのことをテーマするようになると、故郷を離れたことで俯瞰してその環境を見ることができ、はじめて自分の故郷の土地や歴史、伝統を知り、それが私の中で大きな変化につながりました。それからはいろいろな土地の自然や伝統に興味を持ち、自然を描くようになりました。最近は歴史のある山など、固有の土地に行ってみてから描いています。「果つ/拵え/希う」は鹿児島の高千穂峰に登ったときにお鉢の綺麗さに感動し、それを絵の中に取り入れつつ、日本の伝統的な行事であるひな祭りをテーマに3つの場面で表現しました。