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かば

遠藤良亮Ryosuke Endo

作品概要

制作年
2018年
素材
シュレッダーで裁断された紙
サイズ
600mm(幅)×400mm(高さ)×200mm(奥行き)
販売価格¥110,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

シュレッダーで裁断された紙でできた個性的な素材を用いた造形作家、遠藤良亮さんが初登場です。「かば」はデフォルメされた形状がポップな雰囲気をもった作品です。この独創的な形状は、遠藤さんのなかで綺麗だと感じるカタチへと削り出しながら造形することで、この独創的なフォルムが生み出されています。遠くから見ると石を削り出した彫刻のようでもあり、近くで見るとシュレッダーで切り刻まれた紙の形跡が見られるという、アート作品としての深みを持った作品です。
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STORY

倉本:立体の作品を作るようになった経緯について教えてください。

遠藤;小学生の頃からものを作ることがが大好きで、「チョコエッグ」の動物シリーズをまねして自分で作っていました。フィギュアを作る方法をネットで探していたら、 朝隈俊男さんという原型師のホームページで石粉粘土を使った原型作りや型取り、複製の方法を知りました。それを参考にしながら趣味で動物を作り続けていました。あとは、テレビで山下清の「裸の大将」を見て、ちぎり絵を真似したりと、小さい頃からいろいろな素材に触れていたことが今の制作につながっているんだと思います。

倉本:作家を目指したのはどんな理由でしたか?

遠藤:高校生の頃、文化祭で張りぼての大きなオブジェ作りを手伝い、そのときに新聞紙と糊で張り子を作ったのですが、あらためて「紙で作るのは面白い」と紙の存在が自分の中で大きくなりました。高校は理系だったので、将来は建築に進もうかと思っていたのですが、高校3年の最後に作った張り子の作品が県で1位の賞をもらい、美大への進学を決めました。大学では1、2年が基礎実習でいろんな素材を試しながら、動物を作ったりしていました。3年生のとき原型師の仕事をしていた先輩から「今の原型師の仕事はほとんどが美少女フィギュア」という話を聞き、美少女フィギュアには興味がなく、動物を作りたいなら作家としてやっていくほうがいいとアドバイスをもらったのがきっかけです。

倉本:遠藤さんの作品では”新聞紙粘土”いう素材を使われていますが、どうやってこの素材に行き着いたのですか?

遠藤:はじめはFRPという素材で制作をしていましたが、型をつくる工程をなくして、そのまま作品にできる素材なないかと考えました。それで高校時代の新聞紙の張り子を思い出しました。そこから新聞紙を使った作品を作り始め、糊を付けた新聞紙をねっていたら、なんとなく粘土っぽい質感に変化したんです(笑)。この素材は面白いし、自分しか使っている人もいないことに気がつきました。見た目は洗濯機の屑受けにたまる灰色の物体のようですが、印字された文字とかがぐしゃぐしゃになって、意図しない模様が出てくることに面白さを感じました。さらに削り出すと新しい模様も出てきますし、固まると木のように固くなり、彫刻刀で彫ることもできるんです。

倉本:偶然生まれた粘土を、どのように作品に生かそうと思ったんですか。

遠藤:動物を作るのが好きなので、 新聞紙をコンセプトとしてくっつけるなら、今この時代に自分は生きているんだということ、そこで感じたことなどを動物に投入して制作すれば、作品として成り立っていくんじゃないかと思いました。印刷された文字は全然読めなくなっちゃいますが、今こうして生きてるんだよっていうテーマを入れ込みたかったんです。