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作品概要
- 制作年
- 2018年
- 素材
- 陶
- サイズ
- 60mm(幅)×125mm(高さ)×180mm(奥行き)
- 特筆事項
- 黒色の釉薬は指紋が残りやすいので、触る際には手袋などを使用されることをお勧めいたします。
これやんの作品コメント
STORY
これやん:小松さんは東京藝術大学デザイン科出身ですが、現在は粘土で立体作品を制作しています。そうなった経緯は?
小松:大学入試で粘土での立体造形の試験があるので、もともと慣れ親しんだ素材ではありました。デザイン科に入学してからはグラフィックなのか立体表現なのか、どちらに進むかで悩みました。私はコンテンポラリー・ダンスが好きで、舞台の空間美術のように特別な空間を作りたいと思っていて、立体っぽい空間のほうが平面よりも興味があるなと。それで粘土でレリーフの作品を作り始めたのがはじまりでした。その頃はアクリル絵具で色を付けていました。
これやん:粘土で造形をはじめてから、何か転機はありましたか?
小松:夏の特別講義で陶芸の授業を受けたときに焼き物の質感に魅了されて、アクリルの着色ではかなわないと思ったんです。それで本格的に陶芸をやろうと思った頃、ドイツに1年間留学する機会を得たので、現地で本格的に陶芸を学びました。当時は平面も立体も作っていましたが、日本に戻るタイミングで立体作品に専念することにしました。
これやん:作品のモチーフやフォルムも独特です。
小松:もともと日常生活からテーマを絞り出していましたが、立体作品を作りはじめたときに人物をモチーフにしたいと思うようになりました。きっかけは留学中に行ったヌードデッサンと留学先のシュトゥットガルトでよく見ていたコンテンポラリー・ダンスでした。ダンサーたちは身体の動きだけでいろんな感情を表現していて、私も作品を通じて、顔の表情では無くても身体の動きで気持ちを表現したいと思うようになりました。
これやん:顔の表情がないのにはそういう意図があったのですね。
小松:それに加えて日本人的な感覚でいうところの八百万の神と言いますか、いろんなものに神様が宿っている……そんなキャラクターのようなものがいいなと。高校生の頃から妖精や妖怪の存在に興味があり、卒業研究で沖縄の昔話を聞きに行ったりしたので、その影響もあると思います。私はそばに置きたくなるような存在のものを作りたいと思っています。
これやん:作品の制作はどんな風にして進めていくのですか?
小松:スケッチをもとに手びねりで積んでいくときと、粘土の塊から削り出すこともあります。手びねりは各部位ごとに模ったものをあとからくっつけていきます。細かい部分は削りながら作ります。着色はエアブラシを使っていて、そのほうが色のグラデーションを綺麗に出せますね。焼き物なのでうまくいくときもあればそうではないときもあります。私はそれでもいいと思っていて、予想できない変化を私自身、楽しんでいるところもあります。