神社仏閣といった日本建築をモチーフに、木材やアクリルを用いて現代アートに昇華させるアーティスト、藤田朋一先生。羽田空港第3ターミナルの店舗「Diversity Diner」に作品が常設されるのに加えて、店内の装飾デザインも先生が手がけています(店内のレポート記事はコチラ)。この特集ではDiversity Dinerの展示作品から着想した最新作品を販売します。
これやん最近では木材ではなくてアクリル素材を用いて制作されていますが、そうなったきっかけは?
藤田木組みの作品を作るとき、屋根は板状のベニヤで使いますが、その加工にレーザーカッターを用いていました。そのときにふと“アクリルで屋根を作ったらカラフルな表現できるんじゃないか“と思ったのがきっかけですね。もともと作品のモチーフが日本建築なので、それをあえてカラフルな素材にしたら、新しい神社仏閣が作れるのではないかと。
これやんアクリルは透明感もあり、木とは異なる素材感です。
藤田アクリルは透けるから、木のように一目して分かる複雑感が出にくいです。木組みとは違うレイヤー感というか、そのぶん違う良さというか“アクリルだとこうやって見えるんだ”っていう発見もあります。段階を踏むことで複雑な造形もできるようになりましたが、色の組み合わせで同じ造形でも見え方も変わり、まだまだ面白い組み合わせができると感じられる。そこがこの素材の魅力ですね。
これやん今回は壁掛けという新しいコンセプトの作品です。
藤田もともと写真家の古賀勇人さんとのコラボ作品ではじめてレリーフの作品を作りましたが、そこから自分の作品としてやってみようと思ったのが今回の作品です。“破風を懸ける”というテーマで制作しました。破風は山形のシルエットに見える神社仏閣の屋根の部分のことで、装飾的な意味合いもあります。今回の作品はどこの神社仏閣というわけではなく、破風を記号化していて唐破風と千鳥破風の二段構造にしています。
これやん造形的にも細かい装飾がありつつも、全体的に迫力もあります。
藤田破風の角度を少し絞ってみたり広げたりして、小さいサイズでも迫力が出るようにしています。デフォルメしつつも日本の建築方法にのっとって細部まで詰めて造形しています。
これやん全体的なフォルムも個性的です。
藤田今作品に関しては、昔からグラフィティの広がり方がカッコいいなと思っていて、大いに参考にしています。文字から派生した造形が四方八方に散らばってさらに広がった造形へと展開される。自分は文字を破風と屋根に置き換えて、その破風を中心に据えて、その広がりが出せたら面白いなと思って、そのヒントからこういう造形が生まれました。色遣いにもグラフィティの影響がありますね、日本建築にはないポップな色使いを意識しました。今後はもっと大きい作品を作ろうと思っています。