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Symbiosis #34

岩坂卓Suguru Iwasaka

作品概要

制作年
2022年
素材
ガラス、石
サイズ
180mm(幅)×170mm(高さ)×90mm(奥行き)
特筆事項
寒暖差の大きい場所や屋外での展示は、ガラスと石の呼吸の違いによる変化が生じ易い為、お控え下さい。

倉本美津留のこれやんコメント

「国際工芸アワードとやま」の入選経験を持つガラス作家、岩坂卓さん。“Symbosis”は自然物(石)と人工物(ガラス)を用いて“共生き”の精神を表現するシリーズです。石とガラスが驚くほど自然に一体化されていて、磨き上げられた表面が宝石のような美しさを持つ作品です。それに加えて、石と人間、そして自然との共存という、力強いコンセプトを持った、素晴らしいアート作品です。
SOLD OUT

STORY

倉本:岩坂さんの作品は彫刻とも工芸とも捉えられる独特な作風ですね。ガラスに魅了されたきっかけについて教えてもらえますか?

岩坂:モノづくりが好きで、それを学べる大学に行きたいと思っていました。授業でいろんな素材を触るなかで、ガラスが塊になったときの光の感じに魅了されました。でも、入った大学はガラスの勉強だけができる場所ではなかったので、もっとどっぷりとガラス制作に浸かるために富山のガラス専門学校に入り直しました。そのあとで福井のガラス工房に就職して10年くらい働きました。仕事をしながら自分の作品制作もやっていました。あと勤務先の工房のボスが、自分の作品をアメリカに輸出していたので、そのお手伝いもしていました。

倉本:岩坂さんの石とガラスが合体した作風は、どんな風にして生まれたのですか?

岩坂:まず、石やガラスの素材に魅力を感じていたこと、そして自分の中にある日本人らしい美意識や自然観に興味が出てきて……そういったものが30歳を過ぎた頃、ストンとつながったんです。技術もだんだんついてきましたが、かといって自分を前面に出した芸術を主張する性分でもないので、自然に寄り添う感じで作品としての形のなかに落としていけないかなと模索しながら、今の作品ができあがりました。

倉本:制作作業はどのようにスタートするんですか?

岩坂: まず自分と相性のいい石を探すところから始まります。“石ひとつにも命がある”と仏教の教えにありますが、ひとつの石と向き合い、対話をしながら作っていきます。石は長い年月をかけて生まれるもので、それと比べたら人間は新参者です。そんな一瞬の存在である僕が、長い時間を経た石と出会うというのは、ありえないような確率でもあります。だから、僕の制作は“一期一会のコラボレーション”だと思っています。

倉本:作品はまるで自然のなかに存在する宝石のようにも見えますが、どうやって作っているんですか。

岩坂:石の一部を忠実にガラスに置き換えて、組み合わせたものを研磨をすることで新しい形として調和するように制作しています。ガラスの色は石に合わせて決めます。ガラスには人間的な意味合いも含めていて、 自然と人間が共存できるという希望を感じさせたいので、前向きな色を使っています。作品のガラスは日の光が入ると雰囲気が変わり、時間の経過とともに変化します。それ自体が人の一生の一瞬というか、そんな風にも見てもらえたらいいなと思っています。