「あっぱれ」という題は自分にぴったりだと思いました。イメージがたくさん浮かびました。 映画の『キングコング』を題材として選びました。それは1933年から今まで何回もいろいろな監督によってリメイクされ、とても人気のある映画だからです。 人気の秘密を考えたら、本作は世界恐慌の後で大ヒットするのですが、その背景には貧困や飢餓、人種差別のような社会情勢があるからだと思います。人々の不安感、不満感、不自由な鬱積が頂点に達していたであろう時に、あの映画が発表されたのです。私は今と世情は似ているのではと思っています。
エンパイア・ステート・ビルディングで好きな女性を手に登りきったところがキングコングの「あっぱれ」です。
私の作風はオートマタですが、今の世情として人の手が遠くなってきているのでソーラーパネルを使い、自動で動く作品にしました。理不尽なさまざまなことに対してキングコングが抵抗している姿を、右手で自由の象徴として手錠からの解放を表し、左手は愛をつかんでいる。その絶妙なバランスをみてほしいです。