Energy Flow
作品概要
- 制作年
- 2023年
- 素材
- 岩絵具、箔(アルミ)
- サイズ
- 455mm(幅)×455mm(高さ)×20mm(奥行き)
これやんの作品コメント
STORY
これやん:名古屋さんが美術に興味を持ったきっかけは何でしたか?
名古屋:美術よりもテレビゲームや漫画が好きで、ビジュアルに関わる仕事に興味がありました。でも、もともとはあまり挑戦をするタイプではなかったので、高校3年のときに漠然と一般の大学に行こうとしたら、母親に“本当に好きなことをやりなさい”と背中を押されて。考えを改めてみると、自分はキャラクター・デザインをやってみたいと思ったので、美大を目指しました。
これやん:それでデザイン科に進学されたのですね。日本画に取り組むようになった経緯は?
名古屋:きっかけは大学3年で受けた中島千波先生の日本画の授業でした。授業後に上野公園でたまたま先生と鉢合わせて、そのときに“君の作品はいいから、また描いて見せにきなさい”と言われました。それで描いては見せて、先生にアドバイスをもらい……そうこうするうちに大学院は中島先生の研究室に入っていました。大学に入った頃はゲーム会社に就職するつもりでしたが、大学院を卒業する頃になると、作家としての道になっていて……迷いはありながらも作家として活動するようになりました。
これやん:中島先生との出会いで進路が大きく変わったのですね。教えてもらったことで印象に残っていることはありますか?
名古屋:物事に対してフレキシブルになれるようなアドバイスですね。例えば面相筆でまっすぐな細い線を引きたいと思ったら、僕は意固地に筆で描きがちでしたが、先生は“細い線を描くだけなら筆にこだわらなくても、鉛筆でもペンでもいいんだ”とおっしゃっていました。そのおかげで自分がやりたいことに対して、いろんな視点で見ることができるようになりました。
これやん:ご自身の画風はどのように培っていったのですか?
名古屋:図らずして作家になったこともあり、やりたいことを好き勝手にやるとうまくいかないという思いがありました。なので思想的な絵画よりデザイン科で学んだことを生かし、生活や社会に入り込んだときに快適に感じられる作品を目指していました。今思えば、作品を観る側に気を遣いながら描いていたんだと思います。
これやん:ということは、今はそのときとは少し変わってきているのですね。
名古屋:はい。今は自分が面白いと感じたり、元気な気持ちで描いた作品のほうが、まわりの人にもそれが伝わることが分かってきました。なので、良い意味でもっと直感的に描くようになりました。もちろんそれによってこれまで培ったものがなくなる怖さもありますが、やってみないと分からないところもありますから。成功させるという気持ちを持って、新しい画風に楽しみながら取り組んでいます。