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酒井崇Takashi Sakai

作品概要

制作年
2016年
使用素材
紙にボールペン(水性・油性)
サイズ
293mm(幅)×200mm(高さ)
特筆事項
額縁付き
販売価格¥66,000(税込み)

これやんの作品コメント

細密かつ独特のタッチで個性的なボールペン画を描く酒井さん。この作品は門を描くことで二つの世界の境界線を表現しています。ボヤっとしたタッチに加えて、絵の中に描かない空白を設けることで、まるであの世とこの世の中間地点のような異世界を生み出しています。
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STORY

倉本:酒井さんは多摩美術大学の油画専攻を卒業されていますが、最終的にはボールペン画に落ち着いたんですね。

酒井:はい。絵の具で塗るよりもペンで描き込む方が楽しかったんです。小さい頃から絵が好きで、昔は鉛筆で漫画みたいなものを描いていました。でも、鉛筆よりもボールペンの方が黒い線がはっきり出るので描いていて気持ちが良くて。それもあって、結局そこに戻ってきたという感じです。

倉本:ここまで綺麗な線を描くには、どんなボールペンを使っているんですか?

酒井:普通に100円くらいで買えるボールペンです。2種類使っていて、ひとつは200円くらいの水性ボールペン、もうひとつは昔ながらのゼブラとかパイロットの油性ボールペンです。ペンはいろんな状態のものを使い分けていて、インクが減って掠れてきたペンをあえて使うこともあります。あとは、筆圧のコントロールでニュアンスを付けていますね。紙を持ち上げて浮かせて細いところを描いたり……自然とこうなっていきました。

倉本:作品には幽玄な世界観がありますね。

酒井:もともと鉛筆で描いていたときから擦ってぼかすのが好きで、それをボールペンでもやってみたら、不思議な空間が出始めたんです。それをやっていくうちに、描くことで描いていないものを表現したいと思うようになりました。

倉本:なるほど。それで白というか、描かれていない部分が酒井さんの作品にはあるんですね。

酒井:はい。作品の「門」を例にすると、門って向こう側とこちら側の境界線で、それがあることで、向こう側が何なのかを思わせるものだと思っていて。そこを描かずに白にすることでより想像が深まるし、その白を見せるために描く必要があると思っています。僕はもともとひねくれていて、綺麗な花をそのまま綺麗に描くのはあまり好きじゃないって考えがあって。最初にダリの作品を見たときに、描いてあるものだけど、なんかそうじゃない不思議なものが出ていて、ずっと見ていられるという感覚を知りました。それからは自分もそう感じるような作品を作りたいんだと思います。