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静 寂(鳥居みゆきの肖像Ⅱ)

酒井崇Takashi Sakai

作品概要

制作年
2017年
使用素材
紙にボールペン(水性・油性)
サイズ
495mm(幅)×655mm(高さ)
特筆事項
額縁付き
販売価格¥150,000(税込み)

倉本美津留のこれやんコメント

細密かつ独特のタッチで個性的なボールペン画を描く酒井さんの知人でもある、女優・作家の鳥居みゆきさんを描いた肖像画がこちら。もともと酒井さんが描いていた女性の肖像像のテーマでもある、目に見える姿とは反対の側を持った、矛盾を抱える象徴としての女性の理想像が鳥居さんであったそう。肖像像とはいえ、酒井さんらしい主観が盛りこまれた作品です。
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STORY

倉本:酒井さんは多摩美術大学の油画専攻を卒業されていますが、最終的にはボールペン画に落ち着いたんですね。

酒井:はい。絵の具で塗るよりもペンで描き込む方が楽しかったんです。小さい頃から絵が好きで、昔は鉛筆で漫画みたいなものを描いていました。でも、鉛筆よりもボールペンの方が黒い線がはっきり出るので描いていて気持ちが良くて。それもあって、結局そこに戻ってきたという感じです。

倉本:ここまで綺麗な線を描くには、どんなボールペンを使っているんですか?

酒井:普通に100円くらいで買えるボールペンです。2種類使っていて、ひとつは200円くらいの水性ボールペン、もうひとつは昔ながらのゼブラとかパイロットの油性ボールペンです。ペンはいろんな状態のものを使い分けていて、インクが減って掠れてきたペンをあえて使うこともあります。あとは、筆圧のコントロールでニュアンスを付けていますね。紙を持ち上げて浮かせて細いところを描いたり……自然とこうなっていきました。

倉本:作品には幽玄な世界観がありますね。

酒井:もともと鉛筆で描いていたときから擦ってぼかすのが好きで、それをボールペンでもやってみたら、不思議な空間が出始めたんです。それをやっていくうちに、描くことで描いていないものを表現したいと思うようになりました。

倉本:なるほど。それで白というか、描かれていない部分があるんですね。

酒井:はい。作品の「門」を例にすると、門って向こう側とこちら側の境界線で、それがあることで、向こう側が何なのかを思わせるものだと思っていて。そこを描かずに白にすることでより想像が深まるし、その白を見せるために描く必要があると思っています。僕はもともとひねくれていて、綺麗な花をそのまま綺麗に描くのはあまり好きじゃないって考えがあって。最初にダリの作品を見たときに、描いてあるものだけど、なんかそうじゃない不思議なものが出ていて、ずっと見ていられるという感覚を知りました。それからは自分もそう感じるような作品を作りたいんだと思います。