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Melon soda float

堤岳彦Takehiko Tsutsumi

作品概要

制作年
2024年
素材
アクリル絵具、水彩紙
サイズ
273mm(幅)×455mm(高さ)×20mm(奥行き)
特筆事項
作品は額装済み(作家写真をご参照ください)
販売価格¥352,000(税込み)
販売応募期間:2024年11月1日〜12月1日まで

これやんの作品コメント

デザイナー的な視点とユニークな画風をあわせ持つ美術作家、堤岳彦さん。2024年の展示で発表したスイーツをモチーフにした作品をお持ちいただきました。こちらは一見グラスに入ったクリームソーダのように見えますが、上下のモチーフの切り取り方による印象の変化に、堤さんのセンスを感じる作品です。緑色のグラデーションもリアルなようにも見えますが、独自の描写によって印象的にも感じられます。
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STORY

これやん:デザイン科を目指した理由は?

堤:子供の頃から絵が好きで美大に行きたいと思っていました。でも、面倒くさがりだったこともあり、高校の美術で取り組んだ油彩画は絵の具が乾きにくいし、日本画も岩絵具は準備にも手間がかかって……どうしたらよいのかと迷っていました。それで美術の先生に相談したら、東京藝大のデザイン科を目指すなら良い予備校があると言われたのがきっかけでした。その後、予備校の先生や当時の藝大デザイン科の教授だった中島千波先生の日本画が好きになりました。それもあってデザイン科でも絵が描けるんだと思い、自分も進学したら絵を描こうと思っていました。

これやん:大学に入学したあとはどんな絵を描いていたのですか?

堤:予備校で学んだ“平面構成”(美大デザイン科の受験課題のひとつ。平面上にさまざまなモチーフを構成すること)をベースに描いていました。大学3年生の頃に中島先生に作品を見せたら“そんなにデザインっぽく見せなくても良いんだよ”と言われ、今の技法に限界を感じる部分もあったので、この描き方をやめてみたんです。その後は迷走してしまい大学院の時代は“もう絵ではないのかも”と思い、広告分野に持ちはじめてグラフィックデザインをはじめました。その後はデザインの仕事と並行しながら絵を描いていました。

これやん:今の画風にはどのようにたどりついたのですか?

堤:もともと印刷物が好きで、網点(印刷物の濃淡を表現する小さな点)の4色だけでフルカラーを表現していることが面白いと思っていました。そこに自分が好きな日本画の岩絵具の質感が合わって、今の画風になっています。当時は美術の展示よりもデザイン系の展示のほうが楽しくて、試しに自分が好きなポスターを美術のフィールドで表現してみたら、予想以上に良い反応が得られて。そのときにようやく自分のなかでパズルがはまり“これだ!”という感覚になれてからは、この技法を続けています。

これやん:制作時にこだわっているところは?

堤:絵肌の質感ですね。僕が好きな日本画は一見シンプルな絵肌ながらに魅力的な空気感があるので、そこにこだわって色の掛け合わせをしています。画材はアクリルですが艶が出やすいので、大理石の粉末が入ったモデリングペーストを混ぜてマットな質感にしています。作品はステンシルの要領で版を作って絵具を飛ばしていきます。技法はスパッタリングですが、砂の量感の表現が難しく、いろんな道具を試すうちにブラシ同士をこすり合わせる方法に落ち着きました。どこまで要素を省きながら、人を惹きつける色の響き方を表現できるか……地味な部分に気を遣って制作しています。

これやん:網点の概念とデザインのテイスト、それを人力で表現することでこんなにも個性豊かな作品になっているのですね。

堤:とは言え、僕自身は難しいことを考えずに作品を制作しています。この技法が合いそうだなと思えば、モチーフもスイーツだけではなくて動物を描いたり、いろんなものを表現しています。なので、単純に綺麗だとか、今回持ってきた作品なら“美味しそう”などと、感じてもらえたら嬉しいですね。