Solid
作品概要
- 制作年
- 2025年
- 素材
- 麻紙、膠、岩絵具
- サイズ
- 227mm(幅)×227mm(高さ)×20mm(奥行き)
これやんの作品コメント
STORY
これやん:絵を描くようになったきっかけは?
木下:幼い頃に手にひどい火傷を負い、1ヵ月くらい療養をしました。そのときに時間を持て余して、絵を描き始めたのがきっかけでした。療養中にビデオで観た映画のワンシーンを思い出して描いたりしていました。
その後は小学生の頃からデッサンを習い、中学2年生の頃に絵描きになりたいと思っていました。美術科がある高校で出会った恩師に“木下は日本画のほうが合うと思う”と言われましたが、当時は油絵で人物画や自画像を描いていて、日本画や画材のことはよく知りませんでした。でも、恩師のことは信頼していたので、大学は藝大の日本画を目指しました。日本画材に触れたのは大学に入ってからでしたね。
これやん:実際に日本画の画材に触れてみて、どうでしたか?
木下:日本画材の原料でもある石や金属といった物質に、生で触れる感覚が自分には合っていました。もともと化石が好きだったこともあり、しっくりくるものがありました。在学中は画材や原料の研究をしていて、大学院に進むつもりが院生試験で不合格になり、どうしたら良いのか分からなくなって先生に理由を伺いにいきました。そうしたら“君は技術も知識も申し分ないが、本当はもっといろんなものを描けるんじゃないか?”と言われて。その言葉を機に、自分の視野が狭まっていたことに気が付き、大学4年生の終わり頃から描いていた生き物をモチーフにして、どうにか自分なりの作品を表現しようと思いました。
これやん:どのようにして今の画風に辿り着いたのですか?
木下:これまでにあまり取り組まれていない技法の表現をしたいと思っていました。素材は日本画材ですが、絵肌をやすりで削って仕上げたらどうなるのかと思ってはじめたのが今の手法です。最初に取り組んだモチーフはアンモナイトでした。岩絵の具自体が石の粉ですから、化石の物質感を強調した絵肌が作れるんじゃないかなと。まず絵具をモデリングのように重ねていき、殻や鱗など生き物の細かい質感を作ります。岩絵具は厚みがあるとヒビが入りやすくなるので、何層にも分けて塗ります。最後に目の細かい耐水性の紙やすりで磨き上げ、絵肌に艶を出します。この技法自体は油絵の下地作り(エマルジョン)の方法で、それを日本画材に応用しています。
これやん:話を聞いていて、木下さんの技法は工芸にも近い感覚があるのかなと思いました。作品を通して伝えたいことは何ですか?
木下:そうですね。私自身、日本画は絵画的な要素を多く含んだ工芸なのではないかと思っています。岩絵具のように地球上に何億年も存在する時間的な含みを持つ素材と、古代のモチーフを組み合わせることで面白いものが生まれるんじゃないかと思ってこの表現を続けています。伝えたいのは質感ですね。こういったモチーフが持つ雰囲気を表現するには質感が大切だと思っています。自分がイメージする質感を日本絵具でどこまで再現できるのか、今も挑戦を続けています。





