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Bastet(バステト)

江川敏弘

作品概要

制作年
2019年
使用素材
板、紙、水彩色鉛筆、油性色鉛筆
サイズ
220mm(幅)×273mm(高さ)
販売価格¥50,000(+税)

倉本美津留のこれやんコメント

世界中のデスメタルバンドから絶大な信頼を寄せるイラストレーターの江川さん。日頃はフォトショップを駆使してデスメタル系アーティストのアートワークを制作しながらも、最近では自身の作品作りにも没頭し、黒に白の色鉛筆を使った細密な作品を制作しています。まだ生まれて間もないという最新の作品を手に入れられるのは「これやん」だけです! ヘヴィメタルの“黒い世界”を白鉛筆を用いて浮き立たせるという手法に加えて、その卓越した描写力に圧倒されます!
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STORY

倉本:江川さんは海外のデスメタルのバンドのジャケットを多く手掛けていますが、そういった絵を描き始めたきっかけは何でしたか?

江川:もともと小さいレコードレーベルの方と知り合いで、とあるコロンビアのデスメタルバンドが作品を出すときに、ジャケットの絵を描いていた人がいなくなって困っていることを知って、僕に描いてみないかと言われたのがきっかけでした。怖い絵を描いてほしいと言われたのでドラキュラみたいな絵を描いたら“違う”と言われて。まがまがしいというか、昔のホラー映画みたいなドロっとしたイメージで……デスメタルという音楽が求めるものは線引きがきっちりしてて、違う世界観ではダメなことが分かって。その仕事が良いきっかけとなって、絵を描くのが面白くなっていきました。

倉本:画材は何を使っていたんですか?

江川:フォトショップですね。というのも、阪神大震災で家がなくなってしまい、貧乏で画材も持っていなかったので、お金持ちの友達の家に転がりこんで、そこにあったパソコンで1~2年ずっと絵を描いていた時期があったんです。その経験もあって、仕事ができるくらいに絵が描けるようになりました。

倉本:その後、世界中のデスメタルのバンドからのオファーが江川さんの元へ殺到したんですね。

江川:どんどん仕事が来て2年先まで予定で埋まってしまうほどでした。でも、次第に仕事でしか描けない自分が嫌になって、一回仕事を辞める宣言をしてから自分の絵を描き始めました。それで“こう描いてくれ”と言われていた要素を取り除いたら、なんだか“肉の塊”みたいな絵になってしまい、画廊さんに持っていっても全然ダメで……そこでようやくデスメタルのジャケットを描いてきた経験が自分を形作っていることに気がつけました。恥ずかしながらも仕事もカムバックして、同時に自分の作品も描くようになりました。

倉本:今回お持ちいただいたのはまだ新しい作品とのことですが、この作風へ至った経緯を教えてください。

江川:自分の作品を油絵やアクリルで描いていましたが、しっくりこずに模索している時期がありました。そんな時、アメリカ人の彫り師の知人がインスタで、黒いボードに白い筆でタトゥーのイラストの練習を描いている写真を見た瞬間“これや!”って思ったんです。すぐに黒い紙と水彩と油彩の色鉛筆を買って描き始めたら、面白すぎて筆が止まらなくなって、今へと至っています。もうひとつこの作品は背景となる黒色にこだわっていて……というのも僕は、2010年にペースメーカーを入れることになり、その手術中に3度の心停止を経験していて。心臓が止まったとき僕は真っ暗な世界にいて、黒い霧の粒と自分が一緒になった感覚がありました。重力やすべてのことから解放された、あの黒にもっとも近い紙をいろんなところから取り寄せて、一番ピッタリきたのが今の紙でした。どこかしら古くて宗教画や説教画に近いのですが、それをアートの方へどうやって持って行くかは、今も考えているところです。

倉本:作品のモチーフは何ですか?

江川: 悪魔です。デスメタルのジャケットの元になる天使とか悪魔の絵画世界を、資料的に蓄えてきたのですが、そのうちにこの“作られた世界”が面白くなってきたんです。世間的に言葉が悪いのですが、反キリストの絵ってパワーがあるんです。みんな映画や漫画といった、いろんなメディアを通して悪魔を楽しんでいる。仕事でいただくデスメタルのジャケットも“もっとキリストをいたぶって描いてほしい”と言われます。“そんなに嫌いなんか!”っていうほどに(笑)。でも、彼らはみんないい人で家もキリスト教だったりして、特に悪魔崇拝者でもないのにそういうパワーを要求してくる。最近はそのパワーに惹かれていて、自分でもベタな悪魔を大まじめに描きたいと思っています。

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